篠田博之の「週刊誌を読む」

「創」編集長・篠田が毎週、東京新聞に連載(北海道新聞・中国新聞も転載)しているコラム。

 後味の悪い結末だ。女優・斉藤由貴さんのダブル不倫騒動である。

 八月三日発売の『週刊文春』8月10日号が報じ、斉藤さんと相手男性が釈明を行って落着したと思われていたのだが、ここへ来て再燃。斉藤さんは九月十一日にマスコミにFAXを送り、前の会見で不倫を否定したことを撤回した。それを受けてレギュラーのラジオ番組への出演取りやめが決まるなど、仕事にも影響が出ている。

 今になって不倫を認めて謝罪することになったきっかけは、『フラッシュ』が二週にわたって男性医師とのプライベート写真を公開したことだ。五日発売の9月19日号では「斉藤由貴と不倫医師『破廉恥キス』写真」と題して、二人のキス写真を掲載。翌週号では「斉藤由貴と不倫医師『もっと破廉恥』な写真」と題して、医師が女性の下着を被っている写真を公開した。男性の顔はぼかしているが、撮影場所は斉藤さんの部屋で、ふざけて撮った写真らしい。

 キス写真が掲載され、翌週号には別の写真も出ることを知った医師が、その発売前日、十一日放送の朝のワイドショーで不倫を認めて謝罪した。続いて斉藤さんもFAXを流し、こう謝罪した。「先日の会見では、本当のことをお話しできず、誠に申し訳ありませんでした。子供達が目にすることを考えると、あの公の場で何もかもお伝えすることは、私にはどうしても出来ませんでした」

 この不倫騒動、もともと『週刊文春』と別に『フラッシュ』も七月から張り込み取材を行っていた。しかし『週刊文春』に先を越され、一週遅れの8月22・29日号で報道。巻き返しとして今回の写真を公開したらしい。

二誌が動いていたということは、発端は関係者のリークだったのだろう。報道後も二人が不倫を否定したために、今回の証拠写真が出された。遅れをとった『フラッシュ』の思惑もそこに重なったに違いない。

後味が悪いと書いたのは、この決着が二組の家族にとって良かったのかどうかわからないからだ。週刊誌にこんなふうに全てをさらけ出されたことが、例えば双方の子供にどんな影響を与えたか。釈然としないのである。

 

 八月三十一日発売の『週刊文春』9月7日号「世界的トランペッター日野皓正が中学生を『往復ビンタ』動画」は、週刊誌が変わりつつあることを示した事例といえる。

去る八月二十日、世田谷区教育委員会主催のコンサートで、日野皓正さんが、ドラムを演奏していた中学生にビンタを食らわせたという記事だが、タイトルが「『往復ビンタ』動画」であることに注目してほしい。発売に合わせて同誌は「週刊文春デジタル」でスクープ動画を公開。記事はそれを前提にして説明をしたものだ。

ライバルの『週刊新潮』も三十日に「本誌が入手した『日野皓正』暴行動画」なるものをウェブサイト「デイリー新潮」で公開した。翌日発売の号の誌面では該当記事が掲載されていないから、もしかすると『週刊文春』の取り組みを知って急きょ、入手した動画を公開したのかもしれない。

ライバル誌同士が動画をめぐる戦いを繰り広げたというわけだ。

ちなみに八月二十日のコンサートとは「日野皓正presents "Jazz for Kids"」と題し、区内の中学生を集めて日野さんが四カ月間ジャズを指導、その成果を発表したものだ。叩かれた中学生は、日野さんが目をかけていた男子で、指示を無視して長々とソロを続けたため、日野さんが怒ったらしい。ネットでは「公衆の面前で体罰を加えるのは誤りだ」という意見と「ジャズを理解する人から見れば少年の方が悪い」として、日野さんの熱血指導を支持する意見が相半ばしている。また少年自身は『週刊文春』に「自分が悪いと納得しています」と自ら電話をかけてきたという。

 思わぬ騒動になったことを受けて日野さんは九月一日、マスコミの取材に応じ、「あなたたちがこういう騒動にしてしまうことが日本の文化をダメにしてるんだ」と語っていた。日野さんの指導をどう見るかは議論すべきテーマだが、印象的だったのは週刊誌の取り組みだ。考えて見れば『週刊新潮』がスクープした豊田真由子代議士の秘書暴言騒動も、音声公開が前提となった報道だった。週刊誌が活字だけで勝負する時代が終わりつつあることを、それらの取り組みは示しているのかもしれない。

『週刊新潮』8月17・24日号が「乙武クンと愛人を糟糠の妻が訴えた!!」という記事を載せている。

 乙武さんといえば昨年三月、同誌が不倫を暴き、大騒動になった。当時、妻は「私にも責任がある」と夫をかばい「糟糠の妻」と呼ばれたが、その後二人は離婚。その元妻が八月四日に、乙武さんと、不倫相手とされた女性に対して精神的損害の賠償を求める訴訟を起こしたというのだ。

 なぜ今になってと思うだろうが、きっかけは昨年十一月放送のフジテレビ「ワイドナショー」での乙武さんの発言だったという。謹慎していた乙武さんが一連の騒動について説明し、それを禊として、彼は再びメディアに露出するようになった。

 その番組で乙武さんは「私がしでかしたこと自体は、妻はずっと前から知っていたことなので、それ自体は二人の間で揉め事になることはなかったんです」と語った。離婚理由は不倫そのものでなく、騒動が拡大したことで、子どもを守るためには離れたほうがよいと元妻が判断したため、というのだった。

 しかし今回の記事では、元妻の知人が彼女は決して不倫を容認していたわけではないと反論。そして離婚の理由について「乙武さんの態度は傍若無人で、自分が不貞行為を繰り返してきた『加害者』であるにも拘わらず、『被害者』である仁美さんに辛く当たり続けたんです」という。

「例えば、お子さんを幼稚園の送迎バスに乗せるために、仁美さんがほんの数分、彼のもとを離れると、自宅マンション内にある共用の会議室に行きたがった乙武さんは、『自分を放り出すのか』『どれだけ自分が惨めかわかるか』などと仁美さんを何度も詰り、LINEを通じても延々と彼女を責めた」。

そういう状況に妻が耐えられなくなったのが離婚の理由なのに、乙武さんの説明は一方的で、彼女をさらに傷つけたというのだ。

 昨年来の乙武さんの騒動は、彼が障害者であることを抜きには語れない。妻は夫を支える支援者でもあったわけで、その関係と夫婦という関係が、騒動の中で複雑に絡み合っていたわけだ。裁判はどんな展開をたどるのだろうか。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

 

『週刊新潮』8月17・24日号が「乙武クンと愛人を糟糠の妻が訴えた!!」という記事を載せている。
乙武さんといえば昨年三月、同誌が不倫を暴き、大騒動になった。当時、妻は「私にも責任がある」と夫をかばい「糟糠の妻」と呼ばれたが、その後二人は離婚。その元妻が八月四日に、乙武さんと、不倫相手とされた女性に対して精神的損害の賠償を求める訴訟を起こしたというのだ。
なぜ今になってと思うだろうが、きっかけは昨年十一月放送のフジテレビ「ワイドナショー」での乙武さんの発言だったという。謹慎していた乙武さんが一連の騒動について説明し、それを禊として、彼は再びメディアに露出するようになった。
その番組で乙武さんは「私がしでかしたこと自体は、妻はずっと前から知っていたことなので、それ自体は二人の間で揉め事になることはなかったんです」と語った。離婚理由は不倫そのものでなく、騒動が拡大したことで、子どもを守るためには離れたほうがよいと元妻が判断したため、というのだった。
しかし今回の記事では、元妻の知人が彼女は決して不倫を容認していたわけではないと反論。そして離婚の理由について「乙武さんの態度は傍若無人で、自分が不貞行為を繰り返してきた『加害者』であるにも拘わらず、『被害者』である仁美さんに辛く当たり続けたんです」という。
「例えば、お子さんを幼稚園の送迎バスに乗せるために、仁美さんがほんの数分、彼のもとを離れると、自宅マンション内にある共用の会議室に行きたがった乙武さんは、『自分を放り出すのか』『どれだけ自分が惨めかわかるか』などと仁美さんを何度も詰り、LINEを通じても延々と彼女を責めた」。
そういう状況に妻が耐えられなくなったのが離婚の理由なのに、乙武さんの説明は一方的で、彼女をさらに傷つけたというのだ。
昨年来の乙武さんの騒動は、彼が障害者であることを抜きには語れない。妻は夫を支える支援者でもあったわけで、その関係と夫婦という関係が、騒動の中で複雑に絡み合っていたわけだ。裁判はどんな展開をたどるのだろうか。

 このところ木曜日になると芸能マスコミが騒ぎ出すというパターンが続いている。木曜発売の『週刊文春』と『週刊新潮』が競いながらスキャンダル報道を続けているためだ。 

 先週の『週刊新潮』の今井絵理子議員の不倫騒動に続いて、八月三日発売の『週刊文春』8月10日号がぶちあげたのは「斉藤由貴 背教のダブル不倫」。このところドラマでの活躍で人気が復活しつつあると言われる斉藤さんのスキャンダルだ。

 不倫の相手とされたのは主治医の男性で、斉藤さんは同誌発売日の夜に会見。医師には好意を抱いているが不倫関係ではないと釈明した。記事の中でも二人は不倫を否定しているのだが、それでも『週刊文春』が報道に踏み切ったのは、二人が映画を観た帰りに手をつないでいる光景を撮影できたからだろう。

 同誌は発売前日の二日にウェブサイト「文春オンライン」で速報。芸能マスコミの取材が殺到したために本人が会見し、それをまたワイドショーが大きく取り上げて騒動になった。このパターンも最近定着しつつある。

でもどうなのだろう。政治家の場合はともかく、芸能人のプライベートな話をこんなふうに頻繁に大騒動にしていくことにうんざりしつつある読者も少なくないような気がするのだが。

 さて最近気になるのが、眞子さまの婚約をめぐる週刊誌報道だ。七月に予定されていた婚約の正式発表が豪雨被害に配慮して延期されたのだが、『女性セブン』8月17日号は「眞子さま婚約者の語られぬ家族の身上書」という記事を掲げている。それによると、当初の祝福ムードから時間がたつにつれて皇室周辺から婚約についてあれこれ心配する声が出始めているという。

 もともと相手の小室圭さんの年収などについて気にする声はあったらしいが、七月半ばに小室さんが秋篠宮邸を訪れた際のラフな服装についても批判的な声が出たという。

 『女性セブン』は7月13日号でも「眞子さま婚約会見目前!オクから聞こえる不協和音」という記事を掲載していた。皇族との結婚となるといろいろな声が出てくるのは予想されたことではあるのだが、果たして大丈夫なのだろうか。

 

 ついに稲田朋美防衛相辞任という事態に至った安倍政権を揺さぶる一連の不祥事だが、よりによってその時期に噴き出したのが今井絵理子議員の不倫騒動だ。元SPEEDの歌手で、昨夏の参院選で当選した女性議員である。 

すっぱ抜いたのは七月二十七日発売の『週刊新潮』8月3日号「元SPEED『今井絵里子』の略奪不倫」。同議員が同じ自民党の橋本健神戸市議会議員と不倫関係にあるという内容だ。驚いたのは、同誌が七月十四日から数日間にわたって今井議員らを尾行・張り込みしたと思われる記述と写真だ。

グラビアの冒頭には今井議員が大阪のホテルのエレベーターからパジャマ姿で出て来る写真。そのホテルに二人は同宿したというのだが、次のページには二人が大阪へ向かう新幹線の車中の写真。無防備にも隣同士の席で手を握り合っている。驚いたというのは、よくこれだけ何日間も密着して隠し撮りを行えたという、その技術力についてだ。

 このところ『週刊文春』『週刊新潮』のスキャンダル報道で決め手となっているのは、徹底した尾行や張り込みによって確証となる現場を押さえていることだ。それには組織力と技術力が必要なのだが、それが発達したのは一九八〇年代の写真週刊誌ブームの時だ。既に休刊した『フォーカス』の技術は同じ新潮社の『週刊新潮』に受け継がれたと言われ、『週刊文春』では講談社の『フライデー』から移籍した記者が活躍しているという。

 今回、『週刊新潮』は、スキャンダル報道の定石通り、締切前に当事者に隠し撮り写真を示して直撃を行っている。ご丁寧にも男性議員の妻にも直撃を行っているのだが、妻のコメントは「これは決定的ですね」だ。

 今井議員は同誌の発売日に文書コメントを発表。妻と離婚協議中という橋本議員から最近になって交際の申し込みを受けていたことを明らかにしながらも、『週刊新潮』が見出しに掲げた「略奪不倫」という事実はないとした。同日、囲み取材でこうも語っている。「自民党が大変な中、足を引っ張る形になったことをお詫びしたい」。

 確かにタイミングは最悪だ。

『週刊文春』の言葉を借りれば「日本中を戦慄させている松居一代の船越に対する壮絶な復讐劇」、収まる気配がない。松居さんが公開している動画は『週刊新潮』7月20日号によると、彼女の息子の友人でベンチャー企業で映像クリエイターを務めている人物が制作していたという。

その人物の家に松居さんは身を寄せていたようだが、『週刊新潮』が嗅ぎつけて直撃。松居さんが早朝、コンビニに買い物に出た姿を隠し撮りして掲載した。居場所をつきとめられたことを知って、松居さんは既にその家を後にしたという。

もともとこの騒動、四月に松居さんが自殺を図るため、別居していた夫の船越英二さんの家に入ったところ、二冊のノートを発見したのがきっかけだった。松居さんが後に「恐怖のノート」と呼ぶそれを読んで、彼女は「死んでる場合じゃない」と思ったという。夫が不倫をし、松居さんの財産を奪い取ろうとしていることがわかったというのだ。

その後の経緯は『女性セブン』7月27日号によると、松居さんが五月に『週刊文春』編集長に手紙を書いて夫の不倫のネタを持ち込んだ。そして記者とともに不倫相手とにらんだ知人女性がいるハワイに渡って取材を敢行。しかし、確証は得られなかった。      

『週刊文春』は船越さん側にも取材して、結局7月13日号の記事は松居さんの思惑と大きく異なるものとなった。松居さんは、事前に見せるという約束も反故にされたと「『週刊文春』は私をだました」と動画で激しく非難した。

その『週刊文春』は7月20日号で「松居一代『虚飾の女王』」と題して松居さんの主張に反論。「恐怖のノート」の中身も具体的に紹介したうえで、不倫の証拠と言えるようなものではないと書いている。

船越さんと意を通じて自分を付け回していた、と松居さんが動画で非難していた『女性セブン』も、7月27日号で「松居一代がひた隠す『7つの嘘』」と題して、松居さんに反論している。

ネットで自説を展開する松居さんを週刊誌が批判するという構図ができつつあるが、この騒動、今後どうなるのか。

 

 俳優・小出恵介のスキャンダルが大騒動になっている。

 第一報は六月九日発売の『フライデー』6月23日号だ。小出がNHKのドラマ撮影のために訪れていた大阪で五月上旬、一緒に飲んだ女性を口説き、ホテルに行った。女性はその情報を同誌に提供。彼女が十七歳なため、小出の行為が青少年条例違反にあたると問題になった。

 発売前日の八日に所属事務所アミューズは、小出の無期限活動停止を発表。十日から放送予定だった小出主演のNHK連続ドラマは放送中止となった。

 そこまでは前回の話だが、騒動はそれにとどまらなかった。十日付スポーツニッポンが、小出は女性から五百万円を要求されていたと報道。同時にネットでは女性のプライバシーが次々とさらされ、彼女が当初、小出との関係を自ら吹聴していたことも暴露された。

 ネットでは、小出がはめられたのではないかと女性への非難が吹き荒れた。そして彼女はそれを否定するため、十五日発売の『週刊文春』6月22日号で経緯を告白した。なぜ同誌かというと、実は六月初め、最初に彼女がタレコミをしたのは『週刊文春』だったのだ。

 情報提供を受けた同誌は「彼女が金銭目的で証言していることを隠さなかったため」「記事化を慎重に検討」。そこで女性は『フライデー』に話を持ち込んだ。五日に同誌の取材に応じた彼女は、同日、それを小出に伝え、翌六日に小出本人と会った。

 小出は『フライデー』が彼女に提示した謝礼の額を聞いて、それ以上の金を払うので記事を止めたいと要望。二百万円で話がついた。スポニチの報じた五百万円という額は、女性によると一度も話に出ていないという。そして女性は『フライデー』に電話して掲載を止めてほしいと伝えた。だが、同誌は「止められない」と答えたという。

 結果的に『フライデー』が報道し騒動になったわけだが、同誌6月30日号の続報によると、女性もバッシングによって精神的打撃を被っているという。

 十五日、アミューズは、女性との間に十日付で示談が成立したと発表した。一部報道によると、近々、警察による任意の事情聴取が行われるという。

 『週刊文春』と『週刊新潮』は、ともに保守系雑誌として、嫌韓憎中、朝日叩きなど足並みを揃えてきたのだが、このところ対照的な論調が目立つ。

例えば先の高市早苗総務相「電波停止」発言をめぐっての記事も好対照だったが、顕著なのは最新号の熊本地震報道だ。『週刊新潮』4月28日号が「川内原発停止を言い出した野党『便乗政治家』の見識」という記事を掲げたのに対し、『週刊文春』4月28日号は対照的に「原発は本当に大丈夫か?」という十ページに及ぶ特集を掲げている。

その中身もなかなかすごい。「『停止必要なし』丸川珠代担当大臣原発は素人同然」「震源北東へ伊方原発、玄海原発に警鐘を鳴らす地質学者」「震動・津波対策強化も火砕流直撃には打つ手なし」と原発稼働を続ける政府を真っ向から批判しているのだ。

見方によっては『週刊文春』がリベラル派に近づいたと言えなくもないが、これは政治的スタンスというより、読者の違いによるものだろう。『週刊新潮』は高齢の男性読者が多いが、『週刊文春』は女性読者が半分を占める。メディアはそれを支える読者に引っ張られるものだ。

話題転換。週刊誌の見出しと中身が違っているとはよく言われるが、『週刊現代』4月30日号がすごい。同誌記者がセブン&アイ・ホールディングス鈴木敏文会長の自宅を直撃したところ、会長は同誌の以前の記事を激しく批判。「まったくデタラメ」「なんでそういう嘘を書くのかね」「売らんがためのことを平気で書かれたらね。大変迷惑だ」。

その批判をそのまま載せたのはりっぱだが、何と見出しが「スクープ!鈴木敏文独占激白『裏切り者たちに告ぐ』」。やりとりの合間に語った話をこう載せるというのは、週刊誌はやはりしたたかと言うべきなのか。

最後に。前橋スナック乱射事件の矢野治死刑囚が他の殺人を告白した文書を警視庁に提出したというニュースが新聞・テレビで一斉に報じられた。実はこれは『週刊新潮』が何週にもわたって続けてきたスクープだ。週刊誌と新聞・テレビの報道の関係を示す事例なので、改めて取り上げることにしよう。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

 四月八日に突如会見を開いて違法カジノに出入りしていたことを謝罪したバドミントンの田児賢一・桃田賢斗両選手については、日本バドミントン協会が十一日に厳しい処分を発表。一件落着かと思いきや、週刊誌にその後次々と桃田選手のプライベートな写真が掲載されている。同時にこの騒動の背景も少し明らかになった。

 『週刊新潮』4月21日号によると、発端は三月三十日、インド遠征中の桃田選手の携帯に突然、電話がかかってきたことだという。「あなたは違法な会員制の店に通っていましたよね。女性と一緒に写っている写真も見ましたよ。よろしければ一度、お会いして話しませんか」。そういう内容だった。

 『週刊新潮』は今回、取材によって、その電話をかけた人物に接触。桃田選手を脅迫したのかと質すと、この人物は「とんでもない!」と否定。そしてこう説明したという。

 「発端は、昨年末に

"田児選手が錦糸町の闇カジノで遊んでいた"という情報を知人のフリーライターが掴んできたことです。私は取材に協力するつもりで事情に明るそうな関係者を当たってみました。すると、田児選出と一緒に桃田選手がカジノに出入りしていたことに加え、界隈の飲食店で乱痴気騒ぎしている写真も目にしたんです」

 そして、この人物は桃田選手に電話したのだが、「その日のうちに、私の電話を巡って警察が動いているらしいという情報を耳にした」という。恐らく桃田選手側も恐喝の可能性を考えて関係者に相談し、結果的に謝罪会見を開くことになったのだろう。

 前述の話に出てきた写真が、今回『週刊新潮』『アサヒ芸能』『フライデー』などに掲載されたものだ。スナックのママと桃田選手が酔っぱらって抱擁したりしている写真だ。『フライデー』4月29日号によると、ママには目をかけていた暴力団組長がおり、写真は店の関係者から流出したのだという。

 恐喝でなく取材だったのなら、そのフリーライターが名乗り出て真相を語ってほしいものだが、ともあれ、突然の会見から処分発表と事態が一気に動いた背景にはそういう事情があったらしい。

(月刊『創』編集長・篠田博之)