篠田博之の「週刊誌を読む」

「創」編集長・篠田が毎週、東京新聞に連載(北海道新聞・中国新聞も転載)しているコラム。

 俳優・小出恵介のスキャンダルが大騒動になっている。

 第一報は六月九日発売の『フライデー』6月23日号だ。小出がNHKのドラマ撮影のために訪れていた大阪で五月上旬、一緒に飲んだ女性を口説き、ホテルに行った。女性はその情報を同誌に提供。彼女が十七歳なため、小出の行為が青少年条例違反にあたると問題になった。

 発売前日の八日に所属事務所アミューズは、小出の無期限活動停止を発表。十日から放送予定だった小出主演のNHK連続ドラマは放送中止となった。

 そこまでは前回の話だが、騒動はそれにとどまらなかった。十日付スポーツニッポンが、小出は女性から五百万円を要求されていたと報道。同時にネットでは女性のプライバシーが次々とさらされ、彼女が当初、小出との関係を自ら吹聴していたことも暴露された。

 ネットでは、小出がはめられたのではないかと女性への非難が吹き荒れた。そして彼女はそれを否定するため、十五日発売の『週刊文春』6月22日号で経緯を告白した。なぜ同誌かというと、実は六月初め、最初に彼女がタレコミをしたのは『週刊文春』だったのだ。

 情報提供を受けた同誌は「彼女が金銭目的で証言していることを隠さなかったため」「記事化を慎重に検討」。そこで女性は『フライデー』に話を持ち込んだ。五日に同誌の取材に応じた彼女は、同日、それを小出に伝え、翌六日に小出本人と会った。

 小出は『フライデー』が彼女に提示した謝礼の額を聞いて、それ以上の金を払うので記事を止めたいと要望。二百万円で話がついた。スポニチの報じた五百万円という額は、女性によると一度も話に出ていないという。そして女性は『フライデー』に電話して掲載を止めてほしいと伝えた。だが、同誌は「止められない」と答えたという。

 結果的に『フライデー』が報道し騒動になったわけだが、同誌6月30日号の続報によると、女性もバッシングによって精神的打撃を被っているという。

 十五日、アミューズは、女性との間に十日付で示談が成立したと発表した。一部報道によると、近々、警察による任意の事情聴取が行われるという。

 『週刊文春』と『週刊新潮』は、ともに保守系雑誌として、嫌韓憎中、朝日叩きなど足並みを揃えてきたのだが、このところ対照的な論調が目立つ。

例えば先の高市早苗総務相「電波停止」発言をめぐっての記事も好対照だったが、顕著なのは最新号の熊本地震報道だ。『週刊新潮』4月28日号が「川内原発停止を言い出した野党『便乗政治家』の見識」という記事を掲げたのに対し、『週刊文春』4月28日号は対照的に「原発は本当に大丈夫か?」という十ページに及ぶ特集を掲げている。

その中身もなかなかすごい。「『停止必要なし』丸川珠代担当大臣原発は素人同然」「震源北東へ伊方原発、玄海原発に警鐘を鳴らす地質学者」「震動・津波対策強化も火砕流直撃には打つ手なし」と原発稼働を続ける政府を真っ向から批判しているのだ。

見方によっては『週刊文春』がリベラル派に近づいたと言えなくもないが、これは政治的スタンスというより、読者の違いによるものだろう。『週刊新潮』は高齢の男性読者が多いが、『週刊文春』は女性読者が半分を占める。メディアはそれを支える読者に引っ張られるものだ。

話題転換。週刊誌の見出しと中身が違っているとはよく言われるが、『週刊現代』4月30日号がすごい。同誌記者がセブン&アイ・ホールディングス鈴木敏文会長の自宅を直撃したところ、会長は同誌の以前の記事を激しく批判。「まったくデタラメ」「なんでそういう嘘を書くのかね」「売らんがためのことを平気で書かれたらね。大変迷惑だ」。

その批判をそのまま載せたのはりっぱだが、何と見出しが「スクープ!鈴木敏文独占激白『裏切り者たちに告ぐ』」。やりとりの合間に語った話をこう載せるというのは、週刊誌はやはりしたたかと言うべきなのか。

最後に。前橋スナック乱射事件の矢野治死刑囚が他の殺人を告白した文書を警視庁に提出したというニュースが新聞・テレビで一斉に報じられた。実はこれは『週刊新潮』が何週にもわたって続けてきたスクープだ。週刊誌と新聞・テレビの報道の関係を示す事例なので、改めて取り上げることにしよう。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

 四月八日に突如会見を開いて違法カジノに出入りしていたことを謝罪したバドミントンの田児賢一・桃田賢斗両選手については、日本バドミントン協会が十一日に厳しい処分を発表。一件落着かと思いきや、週刊誌にその後次々と桃田選手のプライベートな写真が掲載されている。同時にこの騒動の背景も少し明らかになった。

 『週刊新潮』4月21日号によると、発端は三月三十日、インド遠征中の桃田選手の携帯に突然、電話がかかってきたことだという。「あなたは違法な会員制の店に通っていましたよね。女性と一緒に写っている写真も見ましたよ。よろしければ一度、お会いして話しませんか」。そういう内容だった。

 『週刊新潮』は今回、取材によって、その電話をかけた人物に接触。桃田選手を脅迫したのかと質すと、この人物は「とんでもない!」と否定。そしてこう説明したという。

 「発端は、昨年末に

"田児選手が錦糸町の闇カジノで遊んでいた"という情報を知人のフリーライターが掴んできたことです。私は取材に協力するつもりで事情に明るそうな関係者を当たってみました。すると、田児選出と一緒に桃田選手がカジノに出入りしていたことに加え、界隈の飲食店で乱痴気騒ぎしている写真も目にしたんです」

 そして、この人物は桃田選手に電話したのだが、「その日のうちに、私の電話を巡って警察が動いているらしいという情報を耳にした」という。恐らく桃田選手側も恐喝の可能性を考えて関係者に相談し、結果的に謝罪会見を開くことになったのだろう。

 前述の話に出てきた写真が、今回『週刊新潮』『アサヒ芸能』『フライデー』などに掲載されたものだ。スナックのママと桃田選手が酔っぱらって抱擁したりしている写真だ。『フライデー』4月29日号によると、ママには目をかけていた暴力団組長がおり、写真は店の関係者から流出したのだという。

 恐喝でなく取材だったのなら、そのフリーライターが名乗り出て真相を語ってほしいものだが、ともあれ、突然の会見から処分発表と事態が一気に動いた背景にはそういう事情があったらしい。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

 乙武洋匡さん擁立という参院選へ向けた自民党の思惑をスキャンダルによって打ち砕いた『週刊新潮』が、返す刀で民進党のホープ山尾志桜里政調会長を追及している。4月7日号「500万円の架空資金!? 山尾志桜里の奇妙な政治資金」に続いて、4月14日号でも「山尾志桜里は地球5周分でも菅も地球5周分!」と大きな見出しが躍っている。

山尾政調会長も会見で釈明に追われるなど決着はついていないのだが、特徴的なのは、メディアによってこの問題の扱いが分かれていることだ。『週刊新潮』の追及と同じ週発売の週刊誌でも、例えば『フラッシュ』4月19日号は「山尾志桜里激白!『ヤメ検政治家の流儀』」と題して山尾氏を持ち上げるかのようなインタビュー。『週刊現代』4月16日号に至っては「山尾志桜里 東大時代は『駒場三大巨乳』で有名でした」という、ちょっと能天気とも言える記事を掲載している。

新聞などでもこの問題の扱いが異なるのは、これが参院選へ向けた政治的な意味合いを持つことを認識しているからだろう。ネットなどでは、このスキャンダル自体が官邸の民進党へ向けた情報戦だという見方もある。 

一方で、甘利明前大臣のスキャンダルをめぐっては東京地検が強制捜査に乗り出した。自民党、民進党それぞれの問題をメディアがどう報道するかは世論に影響を及ぼすのは必至だし、私たちもメディアリテラシーを働かせて報道に接していくことが必要だろう。

一方、世間の関心ということで言えば、それ以上に大きな話題は、二年間も少女を監禁していたという寺内樺風容疑者の事件だろう。この容疑者がどういう供述をしていくのか、事件の背景は何なのか。こういう時こそ、事件の背景に踏み込んでくれる週刊誌に期待する人も多いと思うのだが、現時点で言うと、さほど踏み込んだ記事は見られない。

比較的大きなページをさいているのは『週刊新潮』だが、新聞・テレビの報道を超えるものではない。情報が限られているからやむをえないのだろうが、ある意味で時代の陰を映し出しているような印象のあるこの事件について、週刊誌などの報道に期待したい。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

 「マスコミをこらしめる」――すごい言葉だ。話した本人の意図と別に、自民党の政治家がいかに驕りたかぶっているかを端的に示している。

 週刊誌も一斉に反発している。「3バカ議員のオツムの中身」(週刊文春)「自民党『マスコミ弾圧』3兄弟」(フライデー)など三議員への非難は相当なものだ。

 ただ問題なのは、これが三人の議員のキャラクターだけに帰すわけにはいかないことだ。若手議員たちの勉強会発足の背景について『週刊朝日』7月10日号がこう指摘する。 

「そもそも今回の会発足は、首相も大歓迎だったという。自らのヤジや憲法学者の『違憲』発言で、政権に逆風が吹き始めていただけに、流れを変える"援軍"と期待したようだ」「さらに『この会にはもう一つ重大な役割があった』と言うのは自民党関係者だ。『9月に総裁選がありますが、今回の"若手応援団"結成で、首相の無投票再選の流れをつくろうとしたのです』」

三議員の発言は、表現が下品すぎて反発を受けたけれど、マスコミを押さえ込んでしまいたいというのは安倍政権自体の考え方かもしれない。

さてその三議員とともに批判されているのが作家の百田尚樹氏だ。しかし講談社、新潮社、文藝春秋などにとっては、百田氏は批判するわけにいかないベストセラー作家だ。『週刊新潮』などは、三議員については「三バカ大将」などと断罪するものの、百田氏については、逆に当人の反論を大きく掲載している。タイトルは「私を『言論弾圧』男に仕立てあげた大マスコミに告ぐ」だ。

その中で百田氏は、沖縄二紙を「つぶさなあかん」と言ったのは冗談だったとか、「言論に対して、公権力や金や暴力で圧力をかけるということはあってはならない」などと書いている。

でも率直に言ってこの弁解には説得力がない。権力を握っている与党の会合で報道機関を「つぶさなあかん」と言うことがどんな意味を持つかは考えればわかることだ。「私も言論人のはしくれ」とも書いているが、そうであれば報道機関を「つぶせ」という表現はどう考えてもまずいだろう。

 神戸連続児童殺傷事件の元少年Aの手記『絶歌』が出版され、大きな反響を呼んでいる。週刊誌も各誌が取り上げているが、手記内容や出版そのものを批判する論調が多い。  

わかりやすいのが『週刊新潮』6月25日号の見出しだ。「気を付けろ!『元少年A』が歩いている!」。かつて「気を付けろ!佐川君が歩いている」とパリ人肉事件の佐川一政氏を非難した見出しをもじったものだ。つまり殺人を犯した人間が、遺族の哀しみも癒えないのに、のうのうと社会に復帰している、という非難だ。

今回の手記出版に対して非難の嵐が吹き荒れ、販売を自粛する書店も出ているという、その逆風の強さの背景はそういうことだろう。手記自体は話題を呼んでベストセラーになっている。犯罪者の手記としては過去に例のない売り上げになる可能性もあるが、そのことがまた批判の対象となっている。『週刊新潮』の記事の見出し脇には「遺族感情を逆なでして手記の印税1500万円!」と書かれている。

「少年A『手記』出版禁断の全真相」という十五ページもの大特集を掲載したのは『週刊文春』625日号だ。「私はこう読んだ」と題する識者の感想も含め、特集全体に手記出版を非難する空気が色濃く感じられる。

同誌が他誌を凌駕する突っ込みを見せたのは幻冬舎の見城徹社長の詳細なコメントを載せていることだ。もともと手記は元少年から見城氏のもとへ持ち込まれ、同社では出版が難しいという判断のうえで親しい太田出版に紹介されたという。

その幻冬舎の動きを最初にすっぱ抜いたのは『週刊新潮』1月29日号「少年Aの手記出版を企図した幻冬舎への風当たり」だった。同誌の直撃に幻冬舎は出版予定を否定したのだが、それに元少年は動揺し、どうしても幻冬舎で出したいという当初の希望を変える契機になったという。

私自身は、手記の内容にはいろいろ思うところはあるが、社会的議論の素材が提供されたこと自体は否定されるべきではないと考えている。手記をめぐる議論は、恐らく今後、少年法についての議論とつながっていくのではないだろうか。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

NHKの連ドラ「あまちゃん」でブレイクした能年玲奈さんと所属事務所の騒動については以前書いた。さる6月9日、その騒動に関する『週刊文春』の記事に対して、能年さんの事務所レプロエンタテインメントが名誉毀損訴訟を起こした。この騒動、わかりにくいので、改めて整理しておこう。

根っこにあるのは能年さんと事務所の対立だ。多くの芸能マスコミの報道は事務所側に依拠したものだったが、『週刊文春』は能年さん側の主張を報じた。事務所と能年さんの対立が、芸能マスコミの代理戦争となって繰り広げられたと考えればわかりやすい。

もともとは4月26日付東京スポーツが「能年洗脳騒動 無断で事務所を設立」という記事をぶちあげたのが発端だ。能年さんが自分で事務所を設立したのを知った事務所が、背後に彼女をそそのかしている女性がいて、能年さんは洗脳されているのだ、と考えた。その情報に依拠した芸能マスコミが一斉に行ったのが、四月下旬の能年さんの「洗脳」報道だった。

それに真っ向から異を唱えたのが『週刊文春』5月7・14日号「能年玲奈本誌直撃に悲痛な叫び『私は仕事がしたい』」だ。事務所のマネジメントや処遇にいろいろな不満を持っているという能年さん側の主張が詳しく書かれていた。今回、事務所側が提訴したのは、その記事だ。  

その後、その記事に対抗するかのように事務所側の言い分をまとまった形で報じたのは『週刊ポスト』6月5日号「能年玲奈『もう気が狂う!』暴走ヒステリー現象をスッパ抜く」だ。能年さんの意向に現場が振り回され、女性マネージャーが体調を崩して長期休養に入るなどしたと書かれている。能年さんからは既に昨年、事務所を辞めたいという意向が伝えられたが、二〇一六年まで契約が続くことになり、処遇改善など弁護士を立てて双方の協議が続いているという。

能年さんも事務所側も話し合いが継続中なので正式なコメントが出せない。週刊誌は情報源を明記せず、これが真実だとそれぞれの立場で報じている。いったいどの記事が正しいのか、読者は困惑しているかもしれない。

 

 

 5月半ばに行われたICUの合宿での佳子さまのタンクトップ姿が波紋を呼んでいるらしい。『週刊新潮』6月4日号の見出しがすごい。「『紀子さま』『佳子さま』が激しく口論した『青いタンクトップ』と『見せブラ』」。

 記事によると、週刊誌に掲載された娘の写真を見た母親と本人の間で激しい口論があったという。「週刊誌を手に問われる紀子さまに対して、『干渉しないで。放っておいて。自由にさせてよ』と反論される佳子さま」

 週刊誌を手に娘を問い詰めたというのはちょっと出来過ぎの描写の感があり、本当なのか?と疑わないでもない。さらにこの記事には、佳子さまの服装をめぐる話が天皇にも報告され、「陛下は"残念です"とこぼされていました」という侍従職関係者のコメントも載っている。本当にそこまでの騒ぎになっているのだろうか。

 『女性セブン』6月11日号の見出しもかなりのものだ。「佳子さま異常事態で秋篠宮ご夫妻の"導火線"」。ちょうどネットに佳子さまへの脅迫的な書き込みを行った男性が逮捕された事件と時期が同じであるため、「佳子さまが"皇族として品位ある行動をされていないのが原因なのではないか"といった批判的な声」も宮内庁にあると書かれている。

 隠し撮り写真を掲載し、その波紋が広がるとさらに大げさに報道する。この間の週刊誌はそんなふうに見えてしまうが、驚いたのは『フライデー』6月12日号「佳子さまを脅迫した43歳ネトウヨのサイテーな犯罪」。何と逮捕された男はネトウヨだったというのだ。

 この人物は慰安婦問題で朝日新聞を痛烈に批判したり、在特会会長を崇拝するような書き込みをしていたという。その男が皇室を脅す書き込みをしたというのは理解に苦しむが、本人は「スレッドを盛り上げるための悪ふざけだった」と供述しているという。

そもそもネトウヨという言葉の定義自体が曖昧だが、彼らを従来の右とか左とかいう思想の物差しで測るのは誤りなのだろう。43歳で定職に就かず一人暮らしといった背景も含め、この事件、今の日本社会の一断面を象徴しているのかもしれない。

 

 ICU(国際基督教大学)の新入生の合宿行事「リトリート」がすっかり有名になった。5月1516日に行われた今年の合宿に秋篠宮家の次女・佳子さまが参加したことを、週刊誌が大々的に取り上げているのだ。

 「驚きました。皇族のタンクトップ姿を見たのは初めてかもしれません」と皇室記者の興奮気味のコメントを冒頭に掲げたのは『週刊文春』5月28日号。合宿中の肌の露出の大きい服装が波紋を呼んでいるという。『女性セブン』6月4日号も「素肌と着こなしに異論百出」と見出しに掲げ、宮内庁関係者から厳しい声が上がっていると書いている。

肌の露出が大きいなどと聞くと、いったいどういう格好なのかと興味を持つ人も多いだろう。『週刊文春』は写真を掲載していないのだが、驚いたことに『フライデー』『フラッシュ』や女性週刊誌には、隠し撮りと思われる合宿中の写真があふれ返っている。

それらの写真を見ると、まあ普通の女子大生の格好だ。皇族だからといって大学の合宿に正装していくわけはないから当然なのだが、それが人目につくと、こんなふうに話題にならざるをえないのだろう。

『週刊文春』によると、佳子さまは服装や髪形について母親と口論になることが多いという。秋篠宮家関係者の匿名コメントによると「髪形や服装、門限などについて、紀子さまは本当に細かいことまで、厳しくおっしゃることがあります。それに対し、佳子さまは『うるさい!』と返されるのです」という。ちなみに、この記事の見出しは「佳子さまと紀子さま『うるさい!』事件」。母親に「うるさい」と言い返したことが「事件」になってしまっている。

いささか騒ぎ過ぎというべき佳子さまフィーバーだが、『週刊新潮』5月28日号によると、それは中国にまで飛び火しているらしい。日本で三月に発売された『佳子さまご成婚記念』の写真集は中国のネット通販サイトに五倍近い値段で出回っているという。

5月21日には、ネットの掲示板2ちゃんねるに佳子さまを脅すような言辞を書き込んだ男が逮捕された。こういう事が増えることを関係者はいま、恐れているに違いない。

 

 この四月にテレビ局を辞めた二人のアナウンサーが話題になっている。ひとりは元NHKキャスター堀潤さんだ。『フライデー』4月19日号は、同誌の記事がきっかけになったとして、その退職劇を大きく報じている。

 その記事とは、同誌3月22日号「NHK『イケメン』堀潤アナが世に問う『反原発映画』」だ。昨年からアメリカに留学している堀さんが、現地で自主制作した映画を今年2月に上映した様子を紹介したものだが、「反原発映画」という見出しに局側が反応した。    

  堀さん自身が語っているところによれば、発売当日に局から事情を聴かれ、予定していた上映会の中止を命じられた。3月15日に帰国すると、成田空港に上司が待ち構えており、留学を終えて帰国後に予定していた番組収録が全てキャンセルになったと告げられた。翌日も上層部に呼ばれ話し合いを行ったが、決裂し、退職を決意したという。

 『週刊金曜日』4月5日号のインタビューによると、堀さんは原発事故以来、NHKを含めた報道のあり方への疑問をツイッターで発信して局側から注意を受け、2011年末に退職を考えた。一度は辞意を表明したが、慰留する声も上がり、一年間、海外で勉強することにしたという。

 そして今回、再び上層部と対立して退職に至ったのだが、堀さんは既にネットのニュースサイトを立ち上げ、新たなジャーナリズム活動を始めている。

 冒頭に書いたふたりのアナウンサーのもうひとりとは、フジテレビを退職した長谷川豊さんだ。ニューヨーク支局に勤務していた昨年、経費の使い方をめぐって降格処分を受け、この春退社した。その経緯については自分のブログで詳細に明らかにしている。

 従来なら週刊誌が大きく報じたような退職劇について、活字の報道が目立たないのは、既に詳細な説明がネットで、しかも当事者によってなされているからかもしれない。特に堀さんは、退職直後からネット番組に次々に登場した。二人とも、週刊誌などで面白おかしく書かれるよりはネットで自ら説明しようという意志が強く感じられる。ネットは既にメディア界を大きく変えつつあるようだ。

(月刊『創』編集長・篠田博之)