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篠田博之の「週刊誌を読む」

コロナ対策をめぐる安倍政権VS小池百合子都知事の政争

  コロナ禍はメディア界をも直撃している。「報道ステーション」の富川悠太キャスターやプロデューサーの感染が報じられたテレビ朝日は、十七日から三日間、本社を閉鎖して消毒を行うという。 
 コロナ問題を伝える立場だから当然注意していたはずの人までも感染してしまうというのは、新型コロナの恐ろしさを物語っている。『週刊新潮』4月23日号の見出しは「『富川アナ』深刻なる『コロナ肺炎』で『報ステ』崩壊」とすさまじい。
 総理が優雅にくつろぐ動画を投稿してひんしゅくを買うなど、コロナ対策で不人気の安倍政権に対して、小池百合子都知事の人気が上がっているらしい。ただ、それは都知事選をにらんだ小池氏の作戦によるものだ、と
複数の週刊誌が書いている。
 『週刊文春』4月23日号「小池百合子血税9億円CM 条件は『私の出演』」によると、「東京都知事の小池百合子です」で始まる連日のCMに放送局が困惑しているという。民放キー局社員がこう証言している。
 「六月告示の都知事選を控えて、出馬が確実と見られる小池氏を前面に打ち出しているこの政見放送のようなCMは、不偏不党を掲げるテレビ局にとっては由々しき事態なのです」
 記事によると、都の予備費を使ったコロナ対策十二億一千三百万円のうち、「テレビ・ラジオCM枠の確保・CM制作」に五億六千八百万円、「新聞広告」に二億三千八百万円など、宣伝広告に約九億円の予算が組まれている。「緊急コロナ対策のうち、四分の三が、小池氏出演CMを中心とする"情報発信"に使われているのだ」。
 前出『週刊新潮』も「『命か経済か』で『安倍官邸』を悪玉に!『小池知事』の『希望・野望・策謀』再び」と題して小池知事を批判。「機を見るに敏な政界風見鶏の面目躍如」などと酷評している。
 『週刊朝日』4月24日号「小池vs安倍因縁の対決再び 休業要請めぐる泥仕合の裏側」によると、現状では小池知事に軍配が上がっているようだ。ただ、この記事は「コロナ対策を政争の具にだけはしないでほしい」と結ばれている。

(2020年4月19日付東京新聞ほかに掲載)

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