編集長の目
マスコミ界における性暴力とセクハラ
月刊『創』2020年9月号の「性暴力被害者衝撃座談会」が話題になっている。このメルマガ読者に申し上げておきたいのは、その座談会のCさんという女性のことだ。彼女は学生時代からマスコミ志望で『創』の熱心な読者だった。マスコミに入る為に別の大学から早大に入り直したほどなのだが、その憧れだったマスコミに入って、取材相手から性暴力にあってしまう。実はマスコミの女性記者で取材対象からセクハラにあうという話は相当多い。ネタをとるために政治家や警察官に食い込もうとするために、それを逆手にとられてセクハラされるという事例だ。
またその『創』の特集の中で、毎日新聞の現役女性記者も自分の性暴力被害について書いている。彼女は、新聞記事の中でそのことをカミングアウトしたのだが、今回『創』に寄稿した手記の見出しは「男性中心の文化が根強い新聞で性被害体験を書いた」だ。
この1~2年、マスコミの世界でも#MeTooの風が吹き荒れ、様々な動きがあった。『マスコミ・セクハラ白書』という本も文藝春秋から刊行されている。夜討ち朝駆けで体力勝負というマスコミの世界は、最近まで相当な「男社会」だった。
『マスコミ就職読本』はもう創刊して約40年になるが、以前は、マスコミの採用においても、女性の採用数は極端に少なく、女性のみ「指定校制」だったりした。そういう採用における女性差別の実態も、具体的な社名入りで『マス読』は明らかにしてきた。
昔は大手新聞社の役員面接になると、面接官は男ばかりで、しかも面接室のフロアには女性トイレがないといったエピソードがよく語られたものだ。そういう状況はかなり改善されてきたのだが、今回の『創』を読んで、マスコミをめざす人はそういう問題についてもぜひ考えて欲しいと思う。 (マス読編集長・篠田博之)
『創』9月号の特集内容は下記を参照いただきたい。
https://www.tsukuru.co.jp/gekkan/2020/08/2020-09.html
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