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編集長の目

死刑判決

 昨日24日、東京地裁にてアキバ事件の判決公判が開かれ、加藤智大被告に死刑判決が出された。本来なら大きなニュースになる事柄だが、何せ報道は今、地震と原発に集中しており、新聞でも一面で扱わないものもあった。この裁判はもう30回くらい続いており、その大半を傍聴したが、昨日の公判にはマス読実践講座の受講者の姿も見られた。加藤被告の場合、死刑は予測通りだが、法廷で直接裁判官から死刑が宣告されるという場面は、やはり重苦しい空気に包まれる。加藤被告は普段からほとんど表情を変えないのだが、この日も宣告を受けた後、退廷時に遺族や被害者に一礼をして去っていった。死刑事案は弁護人が必ず控訴するのだが、加藤被告の場合はもう死を覚悟していると言っているから控訴を取り下げる可能性が高い。もしかすると、今回が、彼が世間に姿を見せる最後の機会だったのかもしれない。これまでの公判で証言台に立った遺族たちは、口ぐちに「極刑を」と主張し、加藤被告につめよる人もいた。死刑というものについて毎回考えさせられた裁判だった。死刑事件の裁判は何度も傍聴してきたが、今回も多くのことを考えさせられた。10年以上つきあった宮崎勤を始め、死刑囚との関わりについては、ちくま新書から『ドキュメント死刑囚』という本を出している。死刑に関心
のある人は読んでほしい。(篠田博之)

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