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篠田博之の「週刊誌を読む」

与党からの情報戦?民進党のホープにもスキャンダル

 乙武洋匡さん擁立という参院選へ向けた自民党の思惑をスキャンダルによって打ち砕いた『週刊新潮』が、返す刀で民進党のホープ山尾志桜里政調会長を追及している。4月7日号「500万円の架空資金!? 山尾志桜里の奇妙な政治資金」に続いて、4月14日号でも「山尾志桜里は地球5周分でも菅も地球5周分!」と大きな見出しが躍っている。

山尾政調会長も会見で釈明に追われるなど決着はついていないのだが、特徴的なのは、メディアによってこの問題の扱いが分かれていることだ。『週刊新潮』の追及と同じ週発売の週刊誌でも、例えば『フラッシュ』4月19日号は「山尾志桜里激白!『ヤメ検政治家の流儀』」と題して山尾氏を持ち上げるかのようなインタビュー。『週刊現代』4月16日号に至っては「山尾志桜里 東大時代は『駒場三大巨乳』で有名でした」という、ちょっと能天気とも言える記事を掲載している。

新聞などでもこの問題の扱いが異なるのは、これが参院選へ向けた政治的な意味合いを持つことを認識しているからだろう。ネットなどでは、このスキャンダル自体が官邸の民進党へ向けた情報戦だという見方もある。 

一方で、甘利明前大臣のスキャンダルをめぐっては東京地検が強制捜査に乗り出した。自民党、民進党それぞれの問題をメディアがどう報道するかは世論に影響を及ぼすのは必至だし、私たちもメディアリテラシーを働かせて報道に接していくことが必要だろう。

一方、世間の関心ということで言えば、それ以上に大きな話題は、二年間も少女を監禁していたという寺内樺風容疑者の事件だろう。この容疑者がどういう供述をしていくのか、事件の背景は何なのか。こういう時こそ、事件の背景に踏み込んでくれる週刊誌に期待する人も多いと思うのだが、現時点で言うと、さほど踏み込んだ記事は見られない。

比較的大きなページをさいているのは『週刊新潮』だが、新聞・テレビの報道を超えるものではない。情報が限られているからやむをえないのだろうが、ある意味で時代の陰を映し出しているような印象のあるこの事件について、週刊誌などの報道に期待したい。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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