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篠田博之の「週刊誌を読む」

「マスコミをこらしめる」妄言と百田尚樹発言

 「マスコミをこらしめる」――すごい言葉だ。話した本人の意図と別に、自民党の政治家がいかに驕りたかぶっているかを端的に示している。

 週刊誌も一斉に反発している。「3バカ議員のオツムの中身」(週刊文春)「自民党『マスコミ弾圧』3兄弟」(フライデー)など三議員への非難は相当なものだ。

 ただ問題なのは、これが三人の議員のキャラクターだけに帰すわけにはいかないことだ。若手議員たちの勉強会発足の背景について『週刊朝日』7月10日号がこう指摘する。 

「そもそも今回の会発足は、首相も大歓迎だったという。自らのヤジや憲法学者の『違憲』発言で、政権に逆風が吹き始めていただけに、流れを変える"援軍"と期待したようだ」「さらに『この会にはもう一つ重大な役割があった』と言うのは自民党関係者だ。『9月に総裁選がありますが、今回の"若手応援団"結成で、首相の無投票再選の流れをつくろうとしたのです』」

三議員の発言は、表現が下品すぎて反発を受けたけれど、マスコミを押さえ込んでしまいたいというのは安倍政権自体の考え方かもしれない。

さてその三議員とともに批判されているのが作家の百田尚樹氏だ。しかし講談社、新潮社、文藝春秋などにとっては、百田氏は批判するわけにいかないベストセラー作家だ。『週刊新潮』などは、三議員については「三バカ大将」などと断罪するものの、百田氏については、逆に当人の反論を大きく掲載している。タイトルは「私を『言論弾圧』男に仕立てあげた大マスコミに告ぐ」だ。

その中で百田氏は、沖縄二紙を「つぶさなあかん」と言ったのは冗談だったとか、「言論に対して、公権力や金や暴力で圧力をかけるということはあってはならない」などと書いている。

でも率直に言ってこの弁解には説得力がない。権力を握っている与党の会合で報道機関を「つぶさなあかん」と言うことがどんな意味を持つかは考えればわかることだ。「私も言論人のはしくれ」とも書いているが、そうであれば報道機関を「つぶせ」という表現はどう考えてもまずいだろう。

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