トップ> 篠田博之の「週刊誌を読む」 >『週刊文春』「小沢一郎妻からの離縁状」スクープの波紋

篠田博之の「週刊誌を読む」

『週刊文春』「小沢一郎妻からの離縁状」スクープの波紋

 最近の政治報道を見ていると、怒りを通り越して脱力感に捉われる。国民の多数が反対している消費増税と原発再稼働に突き進む野田総理には、「信念を貫く政治家」という勘違いに基づくイメージへの陶酔すら感じられる。政権交代に託した国民の期待をこれだけ踏みにじる今の民主党政権って、いったい何なのだろう。

 別に小沢一郎という政治家が好きなわけではないが、つい小沢グループに期待してみたくなってしまう。――そんな気分に冷水を浴びせたのが、『週刊文春』『週刊新潮』の最近の報道だ。

特に『週刊文春』6月21日号の「小沢一郎 妻からの『離縁状』」はなかなかすごい。同日発売の『週刊新潮』「小沢ガールズ」田中美絵子代議士のスキャンダルともども小沢グループを直撃した。

あまりにタイミングの良いスキャンダル炸裂なだけに、小沢グループは、これを政治的謀略だと言っているらしい。ただ、『週刊文春』記事の執筆者であるフリーライターの松田賢弥さんは、古くからの知り合いだが、コツコツと小沢批判を続けてきた人だ。今回のスクープも地道な取材の成果なのだと思う。

記事では、小沢一郎夫人が支援者に送ったプライベートな手紙を全文公表している。なぜ夫との離縁を決意するに至ったかを説明した手紙だから、当然、夫に対する否定的な記述に満ちている。それがこういうタイミングで公表されるというのは、偶然と思えないという声が出ても不思議でないかもしれない。

『週刊新潮』6月21日号の田中代議士スキャンダルについては、密会の現場を押さえながらも当初は当事者2人とも事実を否定した。しかし、一部報道によると、不倫相手とされた男性役人は、既に更迭されたらしい。

田中代議士は、当選した当初、週刊誌で過去を面白おかしく取り上げられバッシングを受けた。当時、本欄でそれらの報道を批判したところ、田中代議士が読んだようで、本欄記事に励まされたと言っていたらしい。

でも、今回の話はまずいよ。週刊誌の尾行に気づかず、駅通路で長々とキスをしたという記事が本当なら、政治家としての警戒心がなさすぎると思う。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 『週刊文春』「小沢一郎妻からの離縁状」スクープの波紋

このブログ記事に対するトラックバックURL: