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篠田博之の「週刊誌を読む」

塩谷瞬さん二股騒動めぐる週刊誌の思わぬ騒動

 俳優・塩谷瞬さんの二股騒動、と書いただけで、そんなくだらない話はもううんざりだという声が聞こえてきそうだが、敢えて触れておきたい。というのも、この話、週刊誌で思わぬ波紋を広げているからだ。

 「そもそも何が悪いのか? 二股についてとことん考えよう」という特集記事を掲載したのは『週刊ポスト』5月25日号だ。『サンデー毎日』5月27日号は「塩谷瞬騒動で考える『二股』は悪くない?」。『AERA』5月21日号の見出しもこうだ。「男は許されないのに『女の二股』はなぜ許されるのか」。 

『週刊朝日』5月25日号では、コラムニストの北原みのりさんが「女より男が怒った塩谷瞬の二股」と題してこう書いている。「男による二股騒動って、大抵は女の反感を買うものだけど、今回、女よりオジサンの方が怒っている」「一方、塩谷瞬に怒る女は、どのくらいいるだろう」。

 北原さんは前出『週刊ポスト』の記事にもコメントを出しているが、そこで木嶋佳苗裁判を例にあげている。木嶋被告に対して、裁判長が「なぜ結婚を求めているのに複数の男性と交際したのか?」と怒って尋ねていたが、この裁判長の二股に対する認識に違和感を覚えたというのだ。

 『AERA』の記事によると「過去の芸能ニュースをたどってみると、二股が問題視されたのは圧倒的に女性より男性が多い」。例えば、ドラマ「冬のソナタ」の女主人公ユジンも二股なのに「ファンの女性たちは怒るどころかユジンに感情移入して純愛を楽しんだ」

これまでの二股についての取り上げ方は、恋愛において主導権をとり、二股で相手を泣かせるのは男性、という固定観念のうえに成り立っていたのではないか、というわけだ。

今回の二股騒動にこんなふうに疑問が呈されるというのは、騒動の前提とされた旧来のステレオタイプな男女観、恋愛観が現実とずれていると感じた人が多い、ということなのだろう。

『週刊朝日』のコラムで北原さんは、二股をかけた相手女性同士の対立という構図にさせられたジャーナリスト山路徹さんの騒動よりも、今回の「泣く塩谷瞬」の方がずっといい、と書いている。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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