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篠田博之の「週刊誌を読む」

生活保護費受給をめぐる河本準一氏の会見と騒動

 お笑いコンビ「次長課長」の河本準一氏が25日、吉本興業東京本部で会見。自分が扶養できる高収入を得ながら母親が生活保護を受けていたことを認め、謝罪した。

新聞・テレビは会見を受けて一斉に報道したのだが、実はこの問題、1カ月以上前から週刊誌などで話題になっていた。

発端は4月12日発売の『女性セブン』4月26日号のスクープだった。「超人気芸人『母に生活保護』仰天の言い分」と題して、この件を報道。芸人の名前は匿名だった。芸人自身は半ば公人だが、その家族は私人で、芸人の名前を出せば母親をも特定することになるという配慮だったのだろう。

ただ、その芸人が5000万円もの年収を得ながら、母親の生活保護受給について「タダでもらえるんなら、もろうとけばいいんや!」などと周囲に吹聴しているという厳しい告発記事だった。

週刊誌は匿名だったもののネットではたちまち実名が挙げられ、自民党で生活保護問題に取り組んでいる片山さつき議員らがブログで厳しく批判。河本氏の所属事務所は16日に、こうした動きをプライバシー侵害として反論した。

しかし、5月17日発売の『女性セブン』5月31日号は、今度は実名報道で特集記事を掲載。翌週には『週刊新潮』など他の週刊誌も追随した。『週刊現代』は発売中の6月2日号で、表紙に大きくこう書いている。「年収5000万円のお笑い芸人『次長課長』の母親が生活保護で暮らすこの国を、どう思いますか」。

河本氏側はもう観念せざるをえないと判断したのだろう。今回の謝罪会見では、こうした当初の対応を含めて「認識が甘かった」と反省を述べた。

会見での説明によると、母親が生活保護を受給し始めた頃は、河本氏の年収は100万円以下で、扶養する余裕はなかったという。それがテレビでブレイクして10年余で年収数千万円に。芸能界ならではの成功物語だが、生活保護は今回告発されるまで受給し続けた。

生活保護受給者は近年、記録的に増えているという。前から指摘されていたこの問題、騒動を機にしっかり議論したらよいと思う。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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