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篠田博之の「週刊誌を読む」

「俺はここにいるぞ」人騒がせだった尾崎紀世彦失踪騒動

 何とも人騒がせだったのが、歌手・尾崎紀世彦さんが失踪したという報道だった。

4月24日発売の『週刊女性』5月8・15日合併号が、表紙に「衝撃スクープ!」とうたって「尾崎紀世彦失踪!」と大々的に報じた。尾崎さんが行方不明になっており、自宅は廃墟と化しているという内容だ。隣の住民は「この1年見ていません」と言うし、昨年まで所属していた事務所の担当者も連絡がとれないという。

24日のスポーツ紙各紙もこれを紹介する形で「尾崎紀世彦失踪か!」と報じ、ワイドショーも一斉に取り上げた。ところがその日のうちに、尾崎さんの兄弟から「失踪などしていない」という話が伝わってきた。体調不良のため、自宅と別のところで療養しているのだという。

騒動は一日で収まったのだが、いったいこれは何なのだ、と思ってしまう。失踪を報じるテレビを見ながら尾崎さん本人が「俺はここにいるぞ」とつぶやいたという、ブラックジョークのような逸話も伝えられている。

そこで思い起こすのは、少し前まで連日、芸能マスコミを騒がせていたオセロ・中島知子さんの騒動だ。本人は後になって報道を見て、「すごいことになってたんやな」と語っているという。

尾崎さん失踪の記事を掲載した同じ『週刊女性』に、中島さんを洗脳したとされた元占い師の親族が登場している。中島さんの自宅から退去した後も、その近くに元占い師や母親を含め4人で住んでいるとかで、同誌の直撃を受けたらしい。証言内容は、この間伝えられているのと同じ、あの報道は事実と違っており、自分たちは被害者だというものだ。

『女性自身』5月8・15日合併号によると、中島さんは都内で脱洗脳プログラムを受けているが、いまだに元占い師を悪く言っておらず洗脳が解けていないという。

しかし、それは洗脳が解けていないのではなく、あの洗脳報道があまりに図式的で現実といささか違っていたという可能性もあるのではないのだろうか。今回の失踪騒ぎを見ていて、あの洗脳騒動もあんなに大騒ぎするような事柄だったのか、検証してみる必要があるような気がする。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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