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篠田博之の「週刊誌を読む」

大阪での国歌斉唱めぐる教師の「口元チェック」

 「朝日新聞と清武君に告ぐ!」。読売新聞の渡邉恒雄主筆が、巨人軍契約金問題について朝日新聞に反論した独占手記を公表。その掲載誌が『週刊新潮』(4月5日号)だったのには驚いた。読売新聞と『週刊新潮』といえば、この間まで喧嘩していた間柄では? 

 『週刊文春』4月5日号には野田佳彦首相が登場。現職の総理が週刊誌に登場するのは「異例中の異例」と同誌も書いているが、敢えて登場した理由を野田首相はこう語っている。「いろんな媒体を通じて、政策についてより知っていただくといいますか」。

消費税増税のためにはどこにでも出て行きます、というわけだ。でも、この間の野田内閣の暴走ぶりには、国民の多数が辟易している。いろんな媒体で説明を...という問題ではないと思うのだが。

暴走といえば、大阪での国歌斉唱をめぐる教師の「口元チェック」もひどい話だ。それを行った府立和泉高校の中原徹校長が、週刊誌に次々と登場し、反論している。例えば『週刊ポスト』4月6日号では、テレビ朝日「報道ステーション」がこのニュースを伝えた際、女子アナウンサーが「口元より生徒を見て」とコメントしたのに「怒りを覚えました」と語っている。

この校長の反論の要旨はこうだ。自分は府教委の指示に従っただけで、口元チェックも事前に府教委に相談して行った。それなのに、自分がバッシングされ、許せないのは、教育委員長が個人的見解として「言葉を失う思いです」などとコメントしていることだ。つまり指示通りにやったのに梯子をはずされたというわけだ。

でも、今大阪で問われているのは、こんなふうに首長や教委の指示が上意下達に強制されていく現実で「教師の口元より生徒の方を向いて」という女子アナのコメントは本質を捉えた正論だと思う。

もうひとつ中原校長が訴えているのは、当事者に取材せず橋下批判の文脈で自分を叩くのはやめてほしいということらしい。「橋下の犬、なんていう人もいますが、橋下市長が保護者による不適格教員の申し立て制度を提案したときに、僕は異論を述べています」。 

大阪の教育問題、もっと議論が必要だ。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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