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篠田博之の「週刊誌を読む」

思想家・吉本隆明さん『週刊新潮』最後のインタビュー

 思想家・吉本隆明さんが亡くなった。1月に肺炎を起こし、重篤な状態が続いていたという。1月と聞いて思い起こすのは『週刊新潮』1月5・12日号に掲載された「吉本隆明2時間インタビュー 『反原発』で猿になる!」だ。

吉本さんはこう語っていた。「"原発はもう廃止したほうがいい"という声が高まっているのですが、それはあまりに乱暴な素人の論理です」

 社会全体に脱原発の空気が広がっている時だけに、「何を言っているのだ」と冷ややかに扱われたのだが、考えてみればこれが、公の場での最後の発言かもしれない。

 かつて左翼運動に多大な影響を与えた吉本さんの最後の発言がこれだというのは、やや複雑な思いにさせられる。2時間にわたったというインタビューのぜひ全文を公表してほしいと思う。    

さて本題。14日にジャニーズ事務所が報道機関にファックスを送り、SMAPの木村拓哉さんがスピード違反で昨年9月と今年1月に検挙されていたことを公表した。新聞・テレビが突然一斉に報じたので、唐突に感じた人も多いだろう。

実は翌15日発売の『週刊文春』3月22日号が「キムタク『スピード違反』で捕まっていた!」という記事を載せていた。記事では昨年9月の検挙の件しか書いていないのだが、事務所側が影響を懸念して発売前日に説明と謝罪をしたのだ。

先頃、AKB48のスキャンダルを報じたのも『週刊文春』だった。事務所が発表したので今回は一斉報道になったが、この不祥事を先行報道できるのは『週刊文春』くらいかもしれない。大半の芸能マスコミは、ジャニーズ事務所とAKB48には頭があがらないからだ。

 強大な力を誇る芸能事務所にも批判の回路は確保されていることを示した点で、今回の『週刊文春』は意義ある報道だったと思う。

 そのほか最近気になったのは、女性週刊誌が報じている離婚裁判中の俳優・高嶋政伸さんのテープ流出騒動だ。裁判への提出証拠と見られる暴力的な夫婦喧嘩の音声がネットに公開されたというのだが、ネットへのプライバシー流出も行きつくところまで行ってしまったという感じだ。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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