篠田博之の「週刊誌を読む」
雅子妃「離婚」報道を宮内庁が厳しく批判
『週刊新潮』12月29日号によると、恒例の天皇誕生日に際しての会見が、今年は取り止めになったという。皇太子夫妻、特に雅子妃に関する質問が当然予想される状況で、以前二〇〇七年の天皇会見での発言が皇太子夫妻に苦言を呈したかのように報道され、不快な思いをしたことがあったからだという。
この秋以降の週刊誌の大々的な皇室報道については、当の皇室も頭を悩ませているらしい。『週刊現代』1月7・14日号によると、『女性自身』12月20日号「許せない!!宮内庁で蠢く非情の『離婚計画』」に対して、羽毛田宮内庁長官は定例会見で、ひどい記事だと強く非難したという。
その記事は、宮内庁で密かに皇太子夫妻の離婚を画策する動きがあるらしいとの伝聞情報を紹介し、それは許せないと憤ってみせたものだが、そもそもそういう動き自体がありえないというわけだ。
その記事の信ぴょう性はともかく、厄介なのは、それを受ける形で他の週刊誌でも「離婚」の見出しが躍るようになったことだ。そもそも羽毛田長官の否定発言を紹介した『週刊現代』も見出しは「雅子妃『離婚』その現実的対応」。仮に離婚となれば法的に可能なのか、とあれこれ詮索した記事なのだ。
『週刊朝日』12月30日号が「天皇家の不安と雅子さま」と題して宮内庁職員らの興味深い匿名座談会を載せている。今回の離婚説については「ばかばかしい」と一笑に付しながら、過去二〇〇四年にも離婚説が流れたことに言及。皇太子の「人格否定発言」について東宮職幹部が「もっときちんと説明するよう」促した時、雅子妃は「それなら私、皇太子妃を辞めます」と叫んだというエピソードを紹介しているのだ。
この座談会が興味深いのは、宮内庁職員の意識がわかりやすく語られている点だ。例えば雅子妃の公務への関わり方や、皇太子に対して「もっとしっかりしていただきたいと思う宮内庁の人間は山ほどおります」と苦言を呈している。一連の雅子妃バッシング報道には、皇室の伝統を守ろうという守旧的立場からの雅子妃への反発が反映されているというのが私の見方だが、この座談会を読むと、それがよくわかる。
(月刊『創』編集長・篠田博之)
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