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篠田博之の「週刊誌を読む」

『新潮』『文春』の橋下徹前大阪府知事への出自暴き報道

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 大阪ダブル選挙を前に、週刊誌による橋下徹バッシングが吹き荒れている。以前からあった「ハシズム」批判とは異なる、扇情的な「出自」暴きである。

 橋下氏が同和地区で育ったことは本人も公言していたが、それにとどまらず、父親がヤクザの組員であったこと、幼少時にその父親が自殺したことなどを『週刊新潮』と『週刊文春』が競うように暴きたてているのだ。

 きっかけは月刊誌『新潮4511月号だった。橋下氏の叔父に取材した内容をもとに書いた出自の話が大阪で反響を呼び、売り切れ店続出で異例の増刷を行ったという。『週刊新潮』がそこに飛びついたのだった。

同誌11月3日号の見出しは「『同和』『暴力団』の渦に呑まれた独裁者『橋下知事』出生の秘密」。橋下氏の独裁的手法や上昇志向は、ヤクザの父親が自殺し、母子家庭で育つという不遇な境遇からエリートになることによって抜け出ようとした生い立ちに秘密があったという趣旨だ。

同日発売の『週刊文春』11月3日号も「橋下徹42歳書かれなかった『血脈』」と題して父親の話を書いた。

橋下氏はこれらの報道に反発し、ツイッターに次々と感想を書きこんだ。「実父の出自も今回の週刊誌報道で初めて知った。僕は成人だから良い。しかし僕には子供がいる」「子供の友達の親も皆知ることになっているだろう。妹も初めてこの事実を知った。妹の夫、その親族も初めて知った」「メディアによる権力チェックはここまで許されるのか」

その批判に『週刊新潮』は翌1110日号で「独裁者になるという為政者をメディアが監視するのは当然だ」と反論し、続報を掲載。『週刊文春』は「母の独白90分『疑いを持たれる人と一緒になった私が悪い』」と母親の証言を紹介。バッシングは収まっていない。

ヤクザの父親と不幸な生い立ちという出自暴きは、「のりピー」こと酒井法子騒動の時と同じだ。大衆の興味をかきたてることは間違いない。そして、この逆風が選挙にどう影響するかは微妙なようだ。えげつないとも言うべき週刊誌報道に反発して橋下氏にエールを送る声も目立つという。仁義なき戦いは今後、どうなるのか。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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