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波紋広げる読売グループの造反劇「清武の乱」

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 「読売グループに君臨する渡邉恒雄球団会長に公然と反旗を翻すのは、ほとんど奇跡に近い出来事だ」

 そう書いているのは『週刊朝日』1125日号だ。巨人軍の球団代表だった清武英利氏の十一日の会見は野球界以外にも衝撃を与えた。強大な権力者に単身立ち向かう清武氏の涙の会見をテレビで見て、拍手を送った人は多かったと思う。

 ただ、どうもコトはそう単純ではないらしい。『週刊朝日』のこの記事も、見出しは「ドン・キホーテ『清武の乱』全真相」。騒動の背景に読売新聞社の政治部と社会部の対立があるといった説明の後、読売社会部記者のこんなコメントを紹介している。「清武さん、完全に虎の尾を踏んだな。『清武声明』を聞いて社会部内ではみんな、『やり方が賢くない』『あんたがミニ・ナベツネだよな』なんて、冷めた反応でしたからね」。こういうやり方では単なる自爆テロだというのだ。

「巨人『渡邉帝国』崩壊への序章となるか」という副題の『アエラ』1121日号記事の見出しは「清武クーデター始まった」。今回の騒動は、ポスト原の次期監督人事をにらんだもので、渡邉氏が目論んだ江川卓氏招聘を清武氏が潰してしまったために、今後、中日の落合満監督の線が浮上するのではないかと予測している。

江川氏の関わりをめぐっては明らかになっていないこともあるようだ。『週刊新潮』1124日号はグラビアで「原監督がこっそり帰京していた『クーデター』前夜」と題し、清武会見の前日に原監督が隠密裏に帰京していたという写真を掲載。江川氏と会う予定になっていたのではないかと推測している。

『週刊文春』1124日号も、騒動の背後に清武氏と原監督の対立があったことを指摘、ポスト原をめぐる確執

が反乱劇の本質という見方のようだ。

 今回の騒動については、読売以外の新聞の論調も「人事をめぐる内輪もめ」と、やや冷ややかだ。それに対してスポーツライターの玉木正之氏は『SPA!112229日号の中で「たとえ私憤だとしても、堂々とナベツネさんを批判した清武さんの行動はもう少し評価されるべき」と述べている。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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