トップ> 篠田博之の「週刊誌を読む」 >言論・表現の自由を守るキャンペーン

篠田博之の「週刊誌を読む」

言論・表現の自由を守るキャンペーン


 「コミックの表現を脅かす条例改正は本当に必要ですか?」
 半月ほど前から週刊誌にそんな意見広告が続々掲載されているのをご存知だろうか。
 既に掲載されたのは『週刊ポスト』『アサヒ芸能』『フラッシュ』『フライデー』などだ。これは、性表現規制強化の都条例改定に反対するキャンペーンで、日本雑誌協会が主導しているものだ。
 条例改定には、ほぼ全ての出版団体、日本漫画家協会、日本ペンクラブ、日弁連などが反対を表明している。  
 三月半ばから大きくなったこの問題については、私も集会などへ足を運んでいるが、漫画関係者やファンたちの熱気はハンパではない。五月十七日の池袋での反対集会には千人近い人が集まった。
 条例改定は三月から都議会で審議中だが、感心するのは、反対する漫画ファンら熱気が議会を動かしている感じが伝わってくることだ。形骸化しているとはいえ、民主主義がまだ機能していることが実感できる。
 最近、もうひとつそういうことを実感したのは、映画「ザ・コーヴ」上映をめぐる動きだ。この映画はアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞しながら、日本のイルカ漁を激しく告発した内容ゆえに日本での公開が危ぶまれていた。
 六月下旬の公開が決まってからも、これを「反日映画」と糾弾する右派団体が抗議行動を展開し、一時は二年前の映画「靖国」上映中止事件と同じ展開になりつつあった。
 流れが変わったのは「靖国」上映中止事件を反省して、今回は何としてでも上映しようという映画館の声が高まったからだ。言論表現の自由は、そんなふうに多くの人がほんの少しだけ強い意志を持つことで確保される。
 この「ザ・コーヴ」をめぐる問題については、『週刊金曜日』なども取り上げているが、もっと議論してよいテーマだ。私は、ジャーナリストの森達也さんや綿井健陽さんらとともに、六月九日夜に、なかのZERO小ホールで「映画『ザ・コーヴ』の上映とシンポジウム」を行うことにした。参加費千円、ローソンで前売り券発売中だ。創出版のHPでも詳しく告知しているので、ぜひ多くの人に参加してほしい。
(月刊『創』編集長・篠田博之)
 

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 言論・表現の自由を守るキャンペーン

このブログ記事に対するトラックバックURL: