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篠田博之の「週刊誌を読む」

映画「ザ・コーヴ」上映中止相次ぐ

 日本のイルカ漁を告発した映画「ザ・コーヴ」をめぐる騒動が深刻な事態に至っている。抗議が配給会社から映画館に拡大し、映画館が次々と上映中止を決めているのだ。既に東京での上映予定二館と大阪の一館が中止を決めた。
 いずれも、「ザ・コーヴ」を「反日映画」と指弾する右派団体が電話抗議のうえにネットで街宣を行うという日時を予告。映画館がそれにおびえ、予告日の前夜に中止を決めたものだ。深刻なのは、成果があったとして、この攻勢が全国の映画館に拡大され始めたことだ。  
 この映画はアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞し、海外の多くの国で既に公開ずみだ。日本だけこんな騒動になっていることは、この国が「表現の自由」においていかに後進国であるかを世界中にさらしているようなものだ。そもそもこういう事態が前例となっていけば、物議をかもすような映画は公開できないという現実ができてしまう。
 前回本欄で書いた、私たちが企画した九日の中野での上映会は予定通り行う。多くの表現者を集めて、この場で上映中止に反対する会見を行う予定だ。
 さて本題。この二~三週、週刊誌が追及しているのは、大相撲と暴力団の関係だ。発端は『週刊新潮』5月27日号のスクープ「大関『琴光喜』が『口止め料1億円』と脅された」だった。琴光喜が野球賭博に手を染め、その事実を知った暴力団関係者から口止め料として一億円を要求されているというのだ。
 同誌発売の二日後に琴光喜が警視庁の事情聴取を受けたことで、マスコミが一斉に報道に踏み切った。『週刊新潮』はその後も続報を掲載している。
 さらに時期を同じくして、大相撲土俵下の特別な維持員席、いわゆる「砂かぶり」席が暴力団関係者に便宜供与されていたという事 実が明らかになった。
 後者は『週刊実話』6月17日号によれば、山口組六代目の出身母体である弘道会を叩くために、警察が情報を流したのだという。前者の琴光喜スキャンダルも、『週刊ポスト』6月4日号によると、相撲協会内部の争いによるリークではないかとの説もあるらしい。
 この角界スキャンダル、次回も続けて取り上げることにしよう。(月刊『創』編集長・篠田博之)

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