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篠田博之の「週刊誌を読む」

薬物汚染、本質に切り込め 防止システムもっと議論を

 次々と新たな展開で芸能マスコミを賑わせている酒井法子被告の薬物事件だが、最近の主役は建設会社の「会長」だろう。逃亡中の酒井被告のめんどうを見ていた人物だ。

八月二十七日発売の『女性セブン』と『週刊新潮』に登場したのを機に、連日ワイドショーに出ずっぱりとなった。週刊誌などの報道で犯人隠匿を疑われたことから、むしろ取材に応じた方がよいと判断したのだろう。

この会長の話で気になったのは、酒井被告の証拠隠滅疑惑を否定した部分だ。逃走中に酒井被告が髪を切ったという報道に対して、例えば『女性セブン』9月10日号では「100%ないよ」と否定した。酒井被告が髪を切ったというのは、ほとんど確定的に報道されていたのだが、あの報道はいったい何だったの?という感じだ。

この会長の話とともに、酒井被告の二番目の母親のインタビューをとったのは『週刊新潮』9月3日号だ。酒井被告の幼少時の話が具体的で興味深い。例えば彼女が生まれた時、暴力団組長だった父親は刑務所におり、実の母親は娘を置いたまま別の男と駆け落ちしてしまったという。

こうした酒井被告の不幸な生い立ちは、今回の騒動が関心を持たれているひとつの要因だろう。事件の陰に涙ありというドラマチックな物語である。

 もう一カ月近く、この薬物事件は社会的関心を呼んでいる。だからこそ提案したいのだが、テレビの情報番組などはもう少し工夫して、薬物汚染の本質に切り込むような報道ができないものか。例えば防止のために量刑を重くしろといったコメントが多いのだが、それでは単純すぎる。

 アメリカでは1980年代に厳罰化で薬物汚染に対処しようとしたが、効果がないことがわかり、今では治療プログラムを取り入れたドラッグコートという司法システムを導入しているという。日本ではそういう薬物汚染防止のための社会システムについて議論すら起きていないのが現実だ。一番の原因は政府の怠慢だろう。

 この九月三日、私は都内で田代まさしさんを呼んで、薬物問題についての討論会を開くことにした。興味のある人は創出版のHPにアクセスしてほしい。

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