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篠田博之の「週刊誌を読む」

のりピー報道落差に呆れ 薬物汚染の実態伝えよ

 のりピーこと酒井法子容疑者逮捕に至るこの一週間は、芸能マスコミもびっくりの展開だった。

涙を誘う「泣き」でいくか、怒りを煽る「叩き」でいくか、物事を単純化して報じるのが大衆ジャーナリズムの特徴だ。私も関わった三田佳子さんの二男の薬物事件の時などは、三田さんへのバッシングは異常だった。方向がいったん決まると、ひたすら一方向の報道がなされるのだ。  
 しかし、今回ののりピー騒動は異例の展開だった。最初は夫の逮捕に動転し自殺しかねない純真無垢な妻という清純派イメージを煽る「泣き」路線で走っていたのが、逮捕状が出るや突然、一転したのだ。デスクの指示で動いていたワイドショーの現場も、戸惑ったに違いない。その後は弟がヤクザの組員だったとか悪材料が出るわ出るわ。その落差には見ている方も驚き呆れるばかりだった。
 六日発売の『女性セブン』8月2027日号を見ると「高相容疑者を逮捕した署では、共同所持の疑いが出れば、酒井さんからも事情を聞くつもりでいるようです」という関係者のコメントが載っている。夫が逮捕されたのに「後で署に行く」と言ったきり失踪した妻に対して、捜査側は早い段階から疑いを持っていたのだと思う。
 のりピーの夫逮捕と同じ時期に、タレントの押尾学容疑者の逮捕もあって、芸能界の薬物汚染が大きな話題になっている。私はこの何年か田代まさしさんの薬物事件に関わってきた。裁判では証人として出廷したし、先頃彼の著書『審判』を出版もした。だから薬物依存の問題には深刻な思いを抱いている。
 芸能人のケースだけが報道されるから芸能スキャンダルとして消費されてしまうことが多いのだが、一連の事件は、我々の社会に薬物汚染が浸透している現実の反映と見るべきだろう
 今回ののりピー騒動では、山梨県まで中継車を走らせて道行く人に「酒井法子さんを見かけませんでしたか」と訊くという映像に失笑した (失踪中の人がそんな目立つようにしているはずがないでしょう)。そんな余裕があるならマスコミは、薬物依存とは何なのかという情報をもっとしっかり流してほしい。

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