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篠田博之の「週刊誌を読む」

「老い」に率直な感想 永さんら世代の長い活躍願う

私の編集する『創』に永六輔さんと矢崎泰久さんの「ぢぢ放談」(時事と爺のシャレですが)という対談があって、永さんに毎月お会いしているのだが、先頃、ある週刊誌記事が話題になった。『週刊女性』7月14日号の「永六輔『回らないろれつ』『激やせ15キロ』の孤独生活」だ。

新聞の投書欄に、永さんのラジオ番組を聞いた主婦から「ろれつが回らなくなっていて、大変聴きづらかったです。そろそろ後輩に道を譲る時なのではないでしょうか」という投書が載った。それを受けて『週刊女性』記者が永さんを自宅付近で隠し撮り。こう書いた。「角刈りのヘアスタイルは昔と変わりなかったが、その体形は、まるで別人と見間違えるほどやせ細っていた」。近所の飲食店主の「奥さんに先立たれて、少し孤独そうに見えました」というコメントも載っている。

永さんとは衛星放送の番組でもこの二年間ご一緒したが、確かにこの一年ほどやせ細り、立て板に水のように喋るかつてのイメージとはだいぶ違う。

周囲も気づかっているようで、『週刊女性』の記事も本人に見せなかったらしい。対談収録でその話題を持ち出したのは私だが、ご本人が知らなかったというので一瞬ひやっとした。

でもそこはさすがに永さんだ。記事を見ながら「あははは、余計なお世話だ」と笑ってこう言った。「ろれつが回らないというのはごもっともで、入れ歯のせいもあるけど、これはもう歳をとったからとしかいいようがない」。率直だ。

永さんは一九三三年生まれ。テレビは嫌いだが、ラジオは深く愛しており、レギュラー番組をもう四十年以上も続けている。今でも人気が高く、先に引用した手厳しい投書も来る一方、「絶対にやめないでほしい」という投書も番組にたくさん届いているという。

老いの問題はある意味で深刻だ。『週刊現代』8月8日号のコラムで大橋巨泉さんが友人である南田洋子さんの闘病をテレビで見てショックを受けたと書いている。

戦争を体験し、戦後平和を希求してきた永さんらの世代の人たちには、少しでも長く活躍してほしいと、私は思っている。

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