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篠田博之の「週刊誌を読む」

部数回復へ大胆手法 『フライデー』リニューアル

いやあ『フライデー』がすごい。編集長が替わったのを機に6月26日号で突然、白を基調にした表紙に変え、「フライデーは変わります!」の文字を躍らせた。ここまでなら過去多くの雑誌が使った手法だが、驚いたのは変身をアピールする表紙が翌週も翌々週も続いていることだ。

特にリニューアル3号にあたる7月10日号は歌手hitomiの妊婦ヌード。書店店頭で見てそれが『フライデー』だとは誰も思わないような表紙になっているのだ。

この号から田原総一朗の新連載が始まったが、リニューアルしてから目立つのが、連載の署名記事を増やしていることだ。もともと写真週刊誌の場合、署名といえばカメラマンの名前を載せ、記事は無署名が基本だった。あくまでも写真がメインというのが、基本コンセプトだったのだ。

だからこれだけ署名記事を増やしていくのは、写真週刊誌のコンセプトを変えることにもなりかねない。長期低落に歯止めをかけるのが狙いであることは明らかだが、この変更がそれを実現することになるのかどうか。

リニューアル第一号はほぼ完売と言われるが、それが浅草ロック座にストリップ転身した元グラビアアイドル小向美奈子の写真のせいであることは明らかだろう。覚せい剤で執行猶予判決を得た小向が、リスク覚悟でロック座の舞台に立ったのは大きな話題になったが、『フライデー』はその舞台を無断で撮影、堂々とカラーで掲載したのだった。

『週刊ポスト』7月3日号によれば「ロック座は民事の損害賠償だけでなく、刑事訴訟も視野に入れている」という。他誌のようにイラストで再現などという腰の引けたやり方でなく、『フライデー』が抗議覚悟で確信犯的にカラー写真を載せたのが部数的に成功したのは確かだろう。

リニューアル二号目の「長嶋茂雄に寄り添う『田園調布の女帝』の正体」も、長嶋本人から異例の激しい抗議を受け、三号目に反論記事を掲載している。

今後部数回復につながるかどうかはまだわからないが、新編集長の意気込みが伝わってくるという点では、新生『フライデー』の誌面、しばらく注目していきたいと思う。

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