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篠田博之の「週刊誌を読む」

悲喜劇「小沢ショック」 物議かもす検察・副長官

 政権交代ムードに冷水を浴びせた「小沢ショック」。検察がこの時期に小沢一郎・民主党代表の秘書逮捕に踏み切った狙いはどこにあるのか。

 『サンデー毎日』3月22日号で「これは"永田町版"ライブドア事件だ」と語っているのはジャーナリスト・魚住昭氏だ。今回の逮捕は「悪質事案があると見込んだ"ひっかけ捜査"で、一昔前の検察だったら上層部が止めた事案です」「今回は政局に影響を与えることがはっきりしているわけですから、"ひっかけ捜査"は邪道です」という。

 当初言われた「国策捜査」との見方を否定するのは起訴休職外務事務官・佐藤優氏だ。「筆者は、本件は国策捜査ではなく、政治がだらしない状況で『世直し』を真剣に望む特捜の現場検察官たちが『巨人の星』の主人公・星飛雄馬のように瞳に炎を浮かべた『正義の味方』となり、戦前の青年将校のような気分で、『悪い奴らは俺たちが全部成敗してやる』と頑張っているのだと考える」
 頑張っている云々はもちろん皮肉を込めた表現だ。

 「政府高官」こと漆間巌官房副長官の発言も物議をかもした。『週刊新潮』3月19日号「政府高官『サプライズ漆間』前科だらけの『悪評』」によると、漆間氏のこういう騒動はこれまで何度もあったという。「いつも突然の重大発言で関係者を戸惑わせることから、『サプライズ漆間』と呼ばれている」とは関係者の証言だ。

 前出・佐藤氏は『週刊金曜日』でこう書いている。「漆間氏の藪蛇発言が、特捜の矛先を政府・自民党に向けたことは間違いない。民主党の危機を救ったのが漆間氏であるというのは悲喜劇としかいえない」。

 話は変わるが、前出『サンデー毎日』には『諸君!』休刊についての記事も掲載されている。その中で佐藤優氏がこうコメントしている。
「『諸君!』は左翼に対する危機意識で発刊された論壇誌ですから、その危機が去れば『諸君!』の必要性もなくなります。『論座』『現代』に続いて『諸君!』が休刊するのは、ある意味当然の結果なのです」

 左右を問わぬ雑誌休刊ラッシュは深刻だ。

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