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篠田博之の「週刊誌を読む」

笑えない〝誤読〟首相 政権、いまや末期症状

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 べらんめえ口調とマンガに詳しい庶民宰相を売りにしていた麻生首相だが、その戦略はいまや全く裏目に出てしまったようだ。漢字の誤読を指摘されて「単なる読み間違い」と答えて幕引きを図ろうとしたのだが、いや出るわ出るわ。週刊誌は過去の国会答弁の映像と議事録を比較検証し、次々と誤読を指摘している。しかも「おバカ首相」(週刊新潮)「マンガ脳」(週刊文春)と、さんざんな書かれようだ。

 発端は十一月十二日のスピーチで「未曾有」を「みぞゆう」、「頻繁」を「はんざつ」と読んだことだ。後者は老眼による見間違えの可能性があるとしても、前者はそうではないだろう。さらに七日の参院本会議で「踏襲」を「ふしゅう」と読んだことが取り沙汰され、十月十五日の参院予算委員会でも同じ誤りをしていたことが指摘された。

 そのほか『週刊文春』11月27日号によると、これまでも「参画」を「さんが」、「措置」を「しょち」、「偽装請負」を「ぎそううけあい」と読んでいたという。

 さらに『週刊新潮』11月27日号によると、「有無」を「ゆうむ」、「物見遊山」を「ものみゆうざん」と誤読。記事中の全国紙デスクによると、証券取引所の午前中の取引を意味する「前場(ぜんば)」を「まえば」と言っていたという。

 この誤読問題は単なる揚げ足取りで言われているのでなく、麻生政権の政策の定見のなさへの国民の失望と重ねあわせて語られている点が深刻だ。最近はお笑いトークでもこのネタでもちきりだ。

『週刊文春』で作家の林真理子さんはこう書いていた。「嗜好品としての漫画以外にも、主食の本をたっぷり読んでの、お茶目を狙ってのお言葉ならともかく、あの方、本当に本を読んでなさそうだものな」。『週刊現代』12月6日号では作家の高橋源一郎さんがこう書いている。「正直にいって、タカハシさんは心配している。この国のトップといわれる人たちは、ほんとうに『空っぽ』なのではあるまいか、と」

 この話題がこんなふうに広がっていくのは、国民の政治不信が背景にあるからだ。麻生政権、いまや末期症状と言ってよい。

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