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篠田博之の「週刊誌を読む」

メディアの断罪変わらず 小室容疑者逮捕で態度一変

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 この一週間、私にとっては筑紫哲也さんが亡くなったことが最大の衝撃だが、世間的には、小室哲哉の逮捕の方が大きなニュースだったかもしれない。

 成功者の代表とされてきた人物が一気に転落したわけだから、週刊誌が叩くのは当然だが、この袋叩きぶりは何ともすさまじい。例えば『週刊文春』が大阪地検に入る小室容疑者を写した写真に添えた説明はこうだ。「たるんだ首の肉、髭剃り跡が残る頬、ふてぶてしい表情」

 小室容疑者の詐欺話は確かにひどいものだが、この間までもてはやされていた彼の才能までも否定し、その音楽をテレビやラジオで流さないという過剰な反応には驚いてしまう。事件の解明はこれからだというのに、逮捕の瞬間にメディアが裁いてしまうという風潮は相変わらずだ。

 さて、最近もう一つ私が興味を持ったのは、山口組の騒動だ。

 発端は『週刊新潮』10月9日号の記事「大物暴力団組長誕生日コンペ&パーティに細川たかし、小林旭、角川博、松原のぶえ」だった。九月十六日、静岡県の大物組長の誕生日ゴルフコンペに芸能人が出席していたという内容で、発売後、NHKが名前の挙がった芸能人の出演をしばらく見合わせると発表、波紋が広がった。

 さらに記事では匿名だったが、主催者の後藤組長は山口組内部で処分を受けた。十月五日に開かれた山口組の定例会を病気を理由に欠席しながら、その前にゴルフに興じていたことが暴かれたため、本部がメンツをつぶされたと怒ったらしい。

 ところがその処分が厳しすぎるとして、直系組長らが反発、十三名の大物組長が名を連ねた談判状が出されたという。この談判状は怪文書として出回り、『週刊ポスト』11月7日号などが詳細に内容を紹介している。

 私が面白いと思ったのは、その談判状で組長たちが、不況の中での会費値上げや、本部からペットボトル入りの水など日用雑貨を月五十万円単位で委託販売させられていることに「組員が極道としての誇りを傷つけながら、恥を忍んで売り歩いているのだ」などと苦情を申し立てている点だ。不況の中でヤクザの世界も大変らしいのである。

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