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篠田博之の「週刊誌を読む」

休刊相次ぐ雑誌界 「冬の時代」浮き彫り2008年

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「週刊誌の苦境は、週刊誌の推定発行部数の推移を見れば明らかだ」。そんな一文で始まる記事「週刊誌という『文化』の未来」が掲載されているのは、『読売ウイークリー』12月14日号。表紙に大きく「これが最終号! ご愛読ありがとうございました」と書いてある。六十五年もの長い歴史に幕を閉じる同誌の最終号である。

 二〇〇八年は雑誌界にとって歴史的な年といえるだろう。『主婦の友』『現代』など大型雑誌が次々と休刊していった。そしてその最後を飾るかのように、『読売ウイークリー』も休刊した。

 週刊誌の休刊というのは出版界でも大きな事件であるはずなのに、驚きの声は少なかった。あまりに休刊誌が多かったために、意外性を感じなくなってしまったのかもしれない。

 冒頭に引用した一文の後に『読売ウイークリー』の記事では、週刊誌の総部数が、ピーク時の一九九五年に比べ四割近くも落ち込んでいるというデータが紹介されている。『週刊朝日』編集長の「読売ウイークリー休刊と聞いて、明日は我が身と背筋の寒くなる思いがした」というコメントも掲載されている。

 いまや多くの週刊誌が採算割れの危機に直面している。総合週刊誌だけでなく、マンガ雑誌だって大半が赤字だ。雑誌界全体が厳しい冬の時代を迎えているのだ。

 もう二十六年間、月刊『創』の編集長(及び経営者)を務めてきた私にとっても、苦境は他人事ではない。インターネットの影響を含むメディア環境の構造的変化の中で、紙媒体の苦境は、当面打開される見通しがない。

『読売ウイークリー』の重田育哉編集長に話を聞こうと電話をかけた。「話すことはないのでどこの取材もお断りしているんですよ」。重田さんはそう答えた。編集部は部屋を撤収する作業の真っ最中なのだという。雑誌は編集者にとっては、自分の分身だ。それが姿を消してしまうことについて饒舌に語る気にはなれない、という気持ちはよくわかる。

 今回は『SPA!』と『SAPIO』を舞台に佐藤優、小林よしのり両氏のバトルが全面戦争に突入した話題も書こうと思ったが、これは別の機会にしよう。

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