トップ> 篠田博之の「週刊誌を読む」 >八百長疑惑報道で先行                                                     他メディアのタブーに挑む

篠田博之の「週刊誌を読む」

八百長疑惑報道で先行                                                     他メディアのタブーに挑む

| | トラックバック(0)

 『週刊現代』で大相撲八百長疑惑追及を続けている武田頼政さんに会って話を聞いた。武田さんはフリーのライターだが、昨年来同誌で署名記事でキャンペーンを手がけ、この春、編集長が代わってからは署名ではなくなったものの、取材チームに関わっている。最近は相撲協会などに訴えられている裁判の当事者として発言することも多くなった。

 朝青龍や北の湖前理事長などが証人として出廷したことで『週刊現代』と相撲協会の裁判は新聞・テレビが大きく取り上げるところとなった。そんな中でも『週刊現代』はよく健闘し、誌面で独自のスクープを連発している。特に大麻所持で逮捕された元若ノ鵬が突然、角界の八百長疑惑に自分も関わったと爆弾発言を行った件については、彼の独占告白を連載し、報道を大きくリードしている。

 最近になって、相撲協会内部で八百長疑惑(故意の無気力相撲)について語られた録音テープが見つかったとしてテレビ局が大々的に報道しているが、あのテープも元々『週刊現代』で数年前に取り上げたものだという。

「当時、音声をWEBでも公開したし、テレビにも取り上げてもらおうと持ちかけたんですが、あまり報道されなかった。それが最近になって、初めて見つかった大スクープであるかのように報道されているんです」(武田さん)

 テレビが大々的に取り上げることによって最近多くの人が認識するようになった大相撲八百長疑惑だが、実は週刊誌にとっては古くからのテーマだった。武田さんが相撲取材を始めたのは一九八八年頃だというが、当時、八百長追及をお家芸のように掲載していたのはライバルの『週刊ポスト』だった。

 なぜ週刊誌が一貫してこれを取り上げてきたかといえば、本来追及すべきスポーツ専門紙などが、業界のタブーであるこの問題にさわれないという構造があるからだ。九二年頃に雑誌記者はようやく支度部屋の取材を許可されるようになったが、それまでは記者クラブに所属していないため公式取材からいっさい排除されていた。

 この大相撲報道、メディアの構造とも関わっているのだが、次回も話を続けよう。