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篠田博之の「週刊誌を読む」

文春も「共謀罪では困難」                                                     三浦さん問題 日米の対応検証を

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 三浦和義さんが自殺と報じられて一週間以上経った。謎は解明されず、遺族は自殺という発表も受け入れがたいとしている。

  週刊誌ではやはりというべきか『週刊文春』が大特集を掲げている。見出しが何とも扇情的だ。「三浦和義『獄中首くくり』の全内幕」。一九八四年のロス疑惑報道の契機となった同誌だから、当然三浦さんには批判的だ。ただ「観念しての自殺」といった有罪推定一本槍かと思ったらそれだけではない。裁判が行われていたらどうだったかについて、専門家のこんなコメントも掲載している。

「ロス郡検察は自信を持っていたようですが、共謀罪の立証はそう簡単ではなかったと思います」「移送されたから共謀罪で三浦有罪の可能性が高いとは必ずしも言えない」

 自殺とされた三浦さんの死をめぐる事実解明はもちろんだが、二月の逮捕に始まる一連のアメリカ側と日本の当局の措置と対応についても、検証がなされるべきだと思う。

 さて、本欄で何回か取り上げてきた、映画「天皇伝説」をめぐる騒動の報告もしておこう。さる十四日、首都圏で初めて横浜で上映が行われ、私も足を運んだ。機動隊が出動、会場前の道路を一車線封鎖するなど、現場は緊迫した状況だった。 

  上映一時間ほど前から何台もの街宣車が会場周辺を大音響で走行し、会場入り口では自分にカメラを向けた人に右翼が食ってかかったのを契機に怒声が飛びかう騒動となった。

 予定より三十分遅れて上映が始まる直前、約七十人の観客に渡辺文樹監督が口上を述べた。「もし途中でスクリーンを切られたり、映写機に塩酸をかけられたりして上映中止になった時は、入場料はお返しします」。映写機は客席内にあり、塩酸をかけられたら入場料どころの騒ぎではないのだが、緊張の中にユーモアを含んだ渡辺監督らしい表現だ。

 結局、横浜での上映は無事終了。渡辺監督もほっとしたろうが、それも束の間。次に上映予定だった渋谷区では、会場使用拒否に渡辺監督が異を唱え裁判所に訴えたのに対し、東京地裁が十七日、横浜地裁と異なり、監督の訴えを退ける決定を出したのだ。騒動はまだ続きそうだ。