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篠田博之の「週刊誌を読む」

三浦さん 最悪の結末                                                     共謀罪で裁判 乱暴すぎる

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 本稿執筆を始めたところへ新聞社からの電話が相次ぎ、三浦和義さんの自殺という衝撃の事実を知らされた。十二年間接触してきた宮崎勤死刑囚が七月に処刑された時も衝撃だったが、三浦さんとのつきあいはもう二十年以上に及ぶ。あんなに精神的にタフだった人が自殺とはいまだに信じられない思いだ。

 二月にサイパンで逮捕された後、心情を吐露する手記を『創』五月号に寄せてくれた。 逮捕直後は不安で食事も食べられなかったと書いていたが、移送先のロスで再び不安に襲われたのだろうか。

  それにしても日本の最高裁で無罪判決の出た人物を拘束して、日本にはない共謀罪で再度裁こうというのは、どう考えても乱暴だ。そんなやり方が最悪の結末を招いたというべきだろう。

 今回も週刊誌評という本欄の趣旨からはずれっぱなしだが、もうひとつこの間書いてきた渡辺文樹監督の映画「天皇伝説」騒動についても触れておこう。というのも、来る十四日、騒動は重大な局面を迎えるからだ。

 横浜市の会場使用許可取り消しに対して渡辺監督が裁判所に訴え、十日に決定が出たのだが、予想通り会場使用を命じる内容だった。むやみに会場使用を拒否することは「集会の自由ないし表現の自由の不当な制限につながるおそれがある」という、いい決定だ。

 今のところ上映は敢行される予定で、右翼陣営が大量動員で押しかけるのは必至だし、警備態勢をどうするかなど既に会場は緊迫した状況になっているらしい。十四日は横浜市中区開港記念会館で夜六時から、十五日は横浜市技能文化会館で六時半から。その後も連日上映は予定されており、攻防戦はいよいよ大詰めを迎えたといえる。 

 確か以前、渡辺監督の映画会場にナイフを持った男が入ろうとして逮捕されたことがあったが、心配なのはテロといった事態だ。言論・表現をさらに萎縮させることになる、そういう事態だけは絶対に避けてほしい。 

 というわけで今回も『週刊現代』の大相撲報道に触れられなかった。でも、こちらは多くの報道がなされている周知の話題だし、少し先送りしてもよいだろう。