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篠田博之の「週刊誌を読む」

攻防戦、これから本格化                                                     「天皇伝説」いわき市で上映

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 週刊誌評という本旨からはずれるのでこの話をずっとやるつもりはないのだが、新聞・テレビがほとんど報じていないため、ネット社会などでは本欄記事がおおいに注目されている。もう少しだけフォローしよう。渡辺文樹監督の映画「天皇伝説」をめぐる騒動だ。

 十月に上映を予定している横浜や渋谷の会場がほぼ全て使用拒否を通告したのだが、三日に渡辺監督はこれを不当だとして裁判所に訴えた。過去の例に照らすと、裁判所は使用拒否を違法だとする決定を出す可能性が高い。問題はそれを受けて実際に上映が行われるかどうかだ。

 当面の攻防戦は十四日に上映予定の横浜だが、日教組集会をめぐるプリンスホテルや映画「靖国」上映をめぐる騒動など、表現活動についての会場使用拒否が相次いだこの一年ほどの流れに、今回の事件が一石を投じることは間違いない。

 注目すべきは、二日のいわき市での上映が予定通り行われたことだ。右翼の街宣車四台が会場に押しかけ、ものものしい警備態勢が敷かれる中で上映は無事終了。右翼が上映会場に入るという緊迫した局面もあったが、渡辺監督は「どんな思想の人だって映画を見たいと言われたら入れないわけにはいかないでしょう」と入場を受け入れた。

今のところ首都圏では全会場で上映が中止になっているのだが、攻防戦はこれから本格化する。これまで沈黙していた大手マスコミもようやく取材を始めたようだ。

 さて、本欄本来の週刊誌をめぐる動きでは、大相撲八百長疑惑をめぐる『週刊現代』と相撲協会の裁判に大きな動きがあったことが挙げられよう。大麻事件の元若ノ鵬が、八百長問題も含めて記者会見を行い、三日には裁判に朝青龍が出廷するなど、大きな話題となった。

『週刊現代』はこうした動きを受けて、10月11日号で「朝青龍、法廷で真実を語れ!」と勧告するなど、誌面でのキャンペーンを展開している。同誌の昨年来の大相撲疑惑追及とそれに対する高額賠償訴訟は、同誌の今後を左右する大きな問題になっている。これについては次回以降、詳しく取り上げることにしよう。