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篠田博之の「週刊誌を読む」

お粗末な矯正機関                                                     田代さん騒動 薬物問題の視点も

 田代まさしさんが出所していたことを前々回本欄で書いて以降、騒動に忙殺された。彼が出演する十六日の『創』のイベントに取材依頼が殺到。急遽、イベント前に記者会見を行った。オープンな会見を行う代わりに自宅への張り込みなどの過熱取材はやめてほしいという趣旨だった。  

 実は田代さんは体調不良で十四日から入院しており、十六日も点滴を打って会見に臨んだのだった。ところが終了後、田代さんと妹がタクシーに乗る際にカメラが殺到して混乱。さらにタクシーが尾行されたようで、入院先の病院をつきとめられてしまった。妹たちが深夜病院を出たところで直撃取材を受け、翌日も記者が訪れた。

 さすがにこれは深刻な事態だと田代さんの妹から連絡を受け、私は直撃取材を行った『FLASH』編集部に電話を入れた。幸い先方も事情を理解してくれたようで、後でデスクから丁寧な謝罪の電話をいただいた。   

 田代さんの体調不良は刑務所で服用していた睡眠剤の副作用らしい。この間彼に話を聞いて私は、刑務所が薬物依存者への矯正教育も健康管理も極めて不十分なのに驚いた。出所後のフォローも全くない。薬物依存者を刑務所にぶち込んで痛い目に合わせてやれというだけで、治療やケアといった発想がほとんどない日本の矯正機関のお粗末さには、改めて暗澹たる気持ちになる。マスコミも田代さんを追い回すだけでなく、そういう問題を取り上げてほしい。

 話題転換。『フライデー』8月1日号のスクープ「みずほコーポレート銀行斎藤宏頭取『美人記者と"愛欲"不倫』」について触れておこう。路上でキスするシーンを隠し撮りしたものだが、内部通報がなければ撮れないはずだと、このスキャンダルの背景が話題になっている。『AERA』7月28日号は「みずほ『艶聞』の内部抗争」と題して、背後に銀行内の確執があることを指摘している。

 頭取の交際相手がテレビ東京の女性記者だったことにも驚いた。報道の女性と取材対象との恋愛やスキャンダルが、この何年かやたら多い気がする。これも時代の反映なのだろうが、どう考えるべきか、議論しておいてよいテーマだと思う。