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篠田博之の「週刊誌を読む」

路上パフォーマンスの波紋                                                     テレビが煽る?影響自覚を

 休日にはコスプレ姿 の若者でひしめくホコ天が名物となった秋葉原に、このゴールデンウイーク、異変が起こった。「秋葉原コスプレ粛清の是非」という特集を掲げた『SPA!』5月20日号によるとこうだ。

 「連休終わりの5月 6日まで、オタク文化の"聖地"である東京・秋葉原の歩行者天国では、物々しいまでの厳戒態勢が敷かれた。『路上パフォーマンス禁止』と書かれたプラカードを掲げた、実に80人強の地元商店街の有志とともに、数十人態勢で巡回する警察官らを、通りのそこかしこで目にする」

 規制強化のきっかけとなったのが、四月二十日に下着を露出するパフォーマンスをした女性が二十五日に東京都迷惑防止条例で逮捕されたことだった。それまでも警察から警告を受けていたというこの女性、自分のブログでパフォーマンスの予告を行い、ファンもついていたという。

 そして、彼女が前出の『SPA!』や『週刊現代』5月31日号で発言した内容が、もうひとつ波紋を広げた。テレビの取材が入っていたので、当日は、煽られてエスカレートしたというのだ。『SPA!』でのインタビュー記事の見出しは「悪いのは私ですが、テレビに煽られたのも原因のひとつ」だった。

『週刊現代』ではさらに具体的に、NHKのディレクターについてこう発言していた。「何度も『(歩行者天国で)パンツを見せて』と言うKさんの熱意に折れて4月20日に露出をすることになりました」。見出しは「秋葉原で逮捕『露出アイドル』はNHKの"やらせ"だった」。本当なら大変なことだが、NHKはこれを事実無根として発売当日に抗議。経緯を見ると、確かに局が「パンツを見せて」とまで依頼していたとは考えにくい。 

 当日は民放のワイドショーを含む何社かの撮影が入っていたというから、女性の方が、期待に応えねばと過剰に考えすぎた可能性はある。その意味で「テレビに煽られた」という彼女の発言もウソとは言いきれない。このあたりは微妙なのだ。 そもそも秋葉原のイメージそのものが、メディアによって作られているといえる。メディア側がそれを自覚することは必要だろう。