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篠田博之の「週刊誌を読む」

負担大きいパンダ外交                                                     日中首脳会談 友好の裏で

 本欄ではこのところ批判的に取り上げることが多かった『週刊新潮』だが、タイトルというか記事のひねり方は相変わらずうまい。「『タイミングが良すぎる』ので流れる『リンリン暗殺説』」(5月15日号)。

 中身はどうということのない記事だが、この見出しを見て笑った人も多かったのではないだろうか。特集全体のタイトルは「『パンダ下賜』に平伏する『胡錦濤』来日」だ。

 毒ギョーザもチベット問題もあいまいにした首脳会談など「土下座外交だ」と、週刊誌の福田外交非難のボルテージは高い。『週刊文春』5月15日号の特集は「胡錦濤の『笑顔』にスリ寄る福田『大パニック』」。パンダ問題についてはこう解説している。

 「ランラン、カンカ ンがやってきた七二年当時は、文字通り"もらった"もので、所有権も日本にあったが、現在は希少動物の売買を禁じるワシントン条約で、希少動物は贈与も禁止されているため、レンタルという変則的な形式を取らざるをえない。しかも、"レンタル料"までとられるという」

 現在パンダを飼育している神戸市立王子動物園の話では「レンタル料ではなく、あくまで中国の野性動物を保護する運動への支援費」という名目だそうだが、「年間百万ドル(約一億円)を支払っています」とのこと。  

 しかも貸与料も値上げされており、記事中の事情通によると「パンダを借りると、四川省などから視察名目で何十人という中国人がやってくるのです。そのたびに、旅費から滞在費、さらには国際フォーラムの開催費など、中国側の希望する費用を負担する」のだそうだ。可愛いと言ってばかりではすまされないのがパンダ外交の内実らしい。

 『週刊ポスト』5月23日号も「福田首相よ、パンダ2頭で『胡錦濤に1000億円献上』か!」なる記事を掲載。二頭のパンダは「"環境ODA"1000億円を引き出すための中国の『撒き餌』だった」と書いてある。 

 それにしても、北京五輪が近づいているのに、日中両政府の友好ムード演出のかいもなく、日本国内の反中国気運は高まるばかり。このままで五輪は大丈夫なんだろうか。