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篠田博之の「週刊誌を読む」

遼クンに群がる大人たち                                                                                                                                                               宣伝効果求め争奪戦

 前から気になっていたのだが、『週刊現代』2月2日号がそのものズバリのタイトルを掲げている。「『16歳』石川遼に群がるオトナたちの嫌な感じ」。

 ハニカミ王子こと石川選手をめぐるマスコミの騒ぎ方ははっきり言って異常である。海外でプレイするとなると、日本のマスコミが大勢押しかけ、むしろその騒ぎの方が地元で話題になったりするという。

 その石川選手がプロ宣言したことで、商魂逞しい業界人が殺到しているらしい。『週刊現代』にはこう書かれている。「彼はまだプロゴルファーとして使用するドライバーすら決めていない。用具契約に始まり、各企業とのスポンサー契約、CM契約、マネジメント事務所との契約......。日本中から熱視線を浴びる遼クンに乗っかれば、宣伝効果は絶大で、カネが動く」

 広告代理店関係者が匿名でこう語る。「広告業界では、昨年からすでに争奪戦は始まっていました。昨年5月のツアー初優勝直後から、遼クンのイメージを生かしたビジネス戦略作りやマーケティング調査を行い、秋口には正式にプロジェクトチームが立ち上がっています」

 テレビ局もアプローチしているというし、CM契約を結ぼうとスポーツ飲料などの会社が競合中だという。ロッテなどは「仲間由紀恵さんが出演しているガムのCMにも、"歯に噛む"にかけてハニカミ王子と共演を持ちかけるプランがあるようです」とのこと。

 十六歳の少年にこんなふうに群がる大人たちの姿はまさに「嫌な感じ」だ。

 話題転換。『週刊新潮』1月31日号がオウム麻原元教祖の四女の独占手記を載せている。題して「私は『オウムの娘』に生まれたことを恨む」。トップ記事で大きな扱いなのだが、読んでみると『週刊新潮』にしては突っ込みがいまひとつだ。

 彼女がどうして家族のもとを去って、天敵だったジャーナリストの江川紹子さんのもとへ飛び込み、今度は『週刊新潮』と接触するようになったかが書かれていない。私も麻原元教祖の家族とは何度か会っており、この四女にもかつて話を聞いた。小学校の頃から礼儀正しい娘だった。

 彼女が江川さんに接触する前、アーレフ教団には家を飛び出した彼女をシンボルに担ごうという動きもあった。そのあたりもっと知りたいのだが『週刊新潮』はこれ一回で終わりなのだろうか。