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篠田博之の「週刊誌を読む」

人気衰えぬ皇室ネタ                                                      皇太子夫妻「三つ星」訪問報道

 皇太子夫妻がお忍びで 銀座の三つ星レストランに行ったという『週刊文春』1月17日号の記事が波紋を投げている。公務が十分にできないでいる雅子妃が毎月のように高級レストランに行っているのはいかがなものか、という非難めいた内容だったからだ。

 雅子妃のせっかくの順調な回復に水をさすバッシング記事だ、と女性週刊がこれを取り上げた。『女性自身』1月29日号は「雅子さまの私的な外出が多くなり、一部から"ハメをはずされている"というくらいに楽しまれているのだとすれば、それはむしろ歓迎されるべきことです」という精神科医のコメントを紹介している。

 『週刊女性』1月29日号は、元宮内庁関係者のこんなコメントを載せている。「雅子妃の回復には、まず私的な外出や活動の積み重ねが必要でしょう。でも、皇太子ご夫妻には、ご自分たちの立場を自覚した配慮もしていただきたい。揚げ足とりのような非難を受けない慎重さも、これからの雅子妃の完全回復のためには大事なことだと思います」

 でもこの記事のタイトルが「雅子さま 高級レ ストラン通いで生じる新たな心配」。「高級レストラン通い」という表現自体、何となく非難めいた響きがある。いくらお忍びとはいえ、皇太子夫妻が横丁のラーメン屋というわけにはいかないだろう。どこで食事をしたといった話がこんなふうに週刊誌をにぎわすこと自体、雅子妃にとってはプレッシャーではないか。  

 それにしても、ここ何年か、女性週刊誌にとって皇室ネタは欠かせないテーマになった。何があろうと原則として毎号取り上げる、というのが各誌の基本方針らしい。一時は「雅子妃とヨンさま」だったが、韓流ブームが下火になった今、確実に女性読者を獲得できるネタは、皇室だけだ。  

 背景には、聖子・明菜以降、毎号読者をひきつけられるほどの芸能人がいなくなったという現実がある。タレントがプライバシー権や肖像権を主張する時代になったという事情もある。松田聖子は本業以外の私生活、女性としての生き方が関心の的となったのだが、今やそれに代わる存在といえば雅子妃だ。キャリアウーマン志向の女性が嫁いだ先の旧習に悩まされ病いに陥るという悲劇の物語は、多くの女性の共感を得るものだった。

 皇室ネタが女性週刊誌を毎号のように飾る状況はしばらく続きそうだ。