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篠田博之の「週刊誌を読む」

「礼賛」「意地悪」二極化                                                                              雅子さま外出取材で攻防

 前回に続いて皇室報道を取り上げよう。昨年末に宮内庁がホームページで週刊誌を名指し批判したのに反発したのは『週刊朝日』1月25日号「宮内庁 報道の『規制』と 雅子さまの『病状』」。雅子妃 をめぐる取材規制がこの数年、続いているとして、ストロボ制限の話を紹介している。  

 二〇〇一年に出産を終えた雅子妃が宮内庁病院を退院する時、カメラのストロボを控えてほしいとの制限が課せられた。それがなし崩しに続いているというのだ。記事中でカメラマンがこう語っている。「各社は規制撤廃を申し入れていますが、明確な説明もなされない。困るのは日が落ちた時間の撮影です。雅子さまが車で半蔵門を通過する際など、テレビ局2社が使用する照明の明かりでしのぐ状態です」

 そうした取材制限の中でも報道陣との攻防は行われているようだ。『週刊文春』1月17日号が興味深い事例を紹介している。昨年十二月二十八日、銀座のレストランに皇太子夫妻がお忍びで訪れた。「宮内庁から宮内記者会への事前通達はなかったが、独自ルートで情報をキャッチした多くの記者たちが当日夕方から周辺でスタンバイしていた」。ところがその動きが警備側に漏れ、「『報道陣が店舗周辺に大勢待機している』との情報があり、このままではスムーズな入店ができないということで出発が遅れてしまった」という。

 さらに面白いのは十二月二十一日、皇太子一家が恵比寿ガーデンプレイスを訪問した時のこと。「本来、こういったお忍びの外出について東宮職は取材設定をしないのだが、宮内記者会からの要請もあり、このときは"実験的な取材設定"が試みられた。〈カメラマンは、一般の方と同じ服装で、目立たないように人混みの中で撮影する〉、〈プロ仕様のカメラではなく素人が使うデジカメで撮影する〉」。ところが当日、警備の異様さに気づいた一般客が大勢集まってしまい、「カメラマンもなりふり構わず走って追いかけていました」。結局、騒動になってしまったという。

 ちなみにこの『週刊文春』記事の見出しは「雅子さま三つ星レストラン深夜の饗宴を許した東宮職の『見識』」。体調不良を理由に行事を欠席している雅子妃がこんなに私的外出をしているという非難めいた内容だ。こういうやや意地悪な報道と、礼賛報道とにくっきり分かれているのが週刊誌の皇室報道の特徴だ。