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篠田博之の「週刊誌を読む」

「ミシュラン」異論も噴出/グルメ本に騒ぎすぎ?

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 『週刊現代』が新装刊 一周年を記念して、表紙とグラビアを使って「働く女性」応援キャンペーンを始めた。表紙は当分有名企業の女性社員の写真で飾るのだという。  『週刊現代』『週刊ポスト』といえば、数年前までグラビアにハデなヘアヌードが躍り、「女性の敵」と言われた週刊誌だった。それが今や「働く女性の味方」を標榜。この大変身には戸惑う読者も多いのではないだろうか。狙いは女性読者獲得なのだが、実際、両誌とも今は読者の約二割を女性が占めるようになったという。


 しかし、一方で離れた読者も少なくない。特に『週刊現代』はこの一年告発キャンペーンや数々のスクープで話題になったが、部数は急降下。先頃発表された部数公査機関である日本ABC協会のデータによると、昨年下半期の約四十一万六千部から今年上半期は約三十五万部へと落ち込み、『週刊ポスト』の後塵を拝すことになった。


 最も健闘しているかに見えた週刊誌が最も部数を落としたという事実は業界全体にショックを与え、話題になっている。いったいどうしてそうなったのか。この問題、次回以降も論究しよう。  さてこの一週間は『ミシュランガイド』東京版発売の話題にも触れないわけにはいかない。星つきの店に取材や予約が殺到した一方で「格づけ」に異論が噴出。料理界は騒然となったという。『AERA』12月3日号「『ミシュラン』の格差社会」の中で、ある食評論家は「若葉マークの不条理本。ほとんどシュールレアリスムです」とまで酷評している。
 『週刊文春』12月6日号「ミシュラン150軒『書かれざる弱点』」はフードライターや評論家の座談会だが、こんな話が語られている。「これは、あくまでも外国人の目から見た基準だと気づいたんです。まず、絶対的にワインを置いている店が有利です」「星がついた和食屋は白木のカウンターが多く、漆系は敬遠されている」「『白木のカウンター割烹』が外国人のイメージしやすい和食なんでしょう。店主と対面するスタイルの店も有利なようです」
 果てはこんな見方まで飛び出す。「でもミシュランはそれを見越して商売にしてるんじゃない? わざとふさわしくない 店を入れることで盛り上げる、それぐらい狙ってますよ(笑)」。


 結論は「単なるグルメ本に日本人は騒ぎすぎですね」。同感だ。