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篠田博之の「週刊誌を読む」

遺族傷つける過熱報道 香川一家3人殺害で犯人視

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いわゆる集団的過熱取 材をめぐる最近の二つの話題を書いておこう。
 ひとつは香川県坂出市 の一家三人殺害事件についてだ。この間のマスコミ報道について遺族の山下清さんが批判の声をあげている。例えば『週刊ポスト』12月21・28日号ではこう述べている。
 「みのもんたをテレビで見るだけで腹が立つ!」「娘がいなくなったら、必死になって探すのが親心でしょう。なのに、俺が怪しいみたいなコメントして......。あの報道で、どれだけ他の家族が傷ついたか」
 山下さんが怒っているのは十一月十九日放送のTBS「朝ズバッ!」。三人の行方不明に気づいた清さん夫妻が約一時間後、警察署に出向いて届け出たことに対して「普通だったら電話しないかねえ。警察署に行って届け出てる。不思議だねえ」などと、みのが発言したことに対してだ。
 だが犯人視したのは、みのだけでなかったらしい。『週刊文春』12月6日号がこう書いている。「事件後自宅周辺にテレビクルーや報道陣百人近くが殺到し、清さんが捜査車両に乗り込んで買い物に出かけようという際には、取り囲んだ民放のアナウンサーがマイクを握り締め『今、山下清さんが任意同行される模様です』と、早とちりで絶叫する珍騒動もあった」 前出『週刊ポスト』はこうも書いている。「みの発言だけでも清さんら遺族は怒りまくっていたのに、TBSは他にも昼のワイドショー『ピンポン!』で姉妹の写真と名前を取り違えるというミスがあった。それがさらに清さんのテレビ不信を募らせ、葬儀では全局締め出しをくらってしまった」
 傷ついた遺族や関係者をマスコミがさらに傷つけるという構図だ。
 もうひとつは、守屋武 昌前防衛事務次官が地検に出頭した十一月二十八日、前夜から自宅に報道陣が殺到し、大混乱になった話だ。守屋家の娘が取材陣にホースで水をかけたり、出頭時には報道陣ともみあいになったという。その模様を複数の週刊誌が写真入りで報じているのだが、問題は現場でのこうした対立を、我々は一方の当事者である報道側からしか見ることができないことだ。
 恐らく取材陣の傍若無人さを怒ったのだろう娘の行動も、取材陣が何をしたか知らされないと、ただ異常で奇矯な印象だけが残る。守屋家の長女の方、もし本紙を読んでいたらぜひ連絡下さい。そして取材のあり方への批判を話してほしい。
(月刊『創』編集長・篠田博之)

 

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