トップ> 篠田博之の「週刊誌を読む」 >外国人頼み 角界の矛盾/朝青龍騒動 TVも本質的な議論を

篠田博之の「週刊誌を読む」

外国人頼み 角界の矛盾/朝青龍騒動 TVも本質的な議論を

テレビが連日大騒ぎし ているのだが、表層的な報道しかしないため、何が問題なのかさっぱりわからないのが朝青龍騒動だ。その点、週刊誌はいい。乱暴とも思えるほどわかりやすい切り口で問題を解説してくれる。

「『精神安定剤服用』 も仮病だ」とまで書いているのは『週刊文春』8月16・23日号だ。もともと朝青龍が、怪我を理由に夏巡業を欠席しながらモンゴルでサッカーをしている映像がテレビで流れ、相撲協会が重い処分をくだしたというのが騒動の経緯なのだが、週刊誌は最初の朝青龍の巡業欠席をほぼ「仮病」と断定している。そのうえ処分を受けても反省することなく、「心の病」を強調。これ自体もパフォーマンスというわけだ。

 八百長報道で朝青龍と対決を続けてきた『週刊現代』になるとさらに鼻息が荒い。8月18・25日号のコピーは「本誌連続追及でついに角界追放へ」。今回の事態も自分たちのキャンペーンの成果だと誇示しているのだ。ちなみにこの記事の見出しは「朝青龍モンゴルビジネスの闇」。

 実は朝青龍は、力士の副業が禁止されているために親兄弟を名目上の代表に就けているが、現地で「ASAグループ」という企業群を事実上経営しており、ひんぱんにモンゴルに帰国するのもそのためだという。相撲協会に長期謹慎を命じられた彼が今回、大反発したのは、現地でのビジネスに支障が出ると判断したからだというのだ。

 騒動の発端になった朝青龍のサッカーの映像については『FLASH』8月21・28日号が「朝青龍”仮病サッカー”の黒幕はフジテレビだ!」と題して取り上げている。フジテレビが最初、七月二十五日にニュース番組で流したその映像の見出しは「旅人ヒデと横綱  夢の競演実現」。チャリティイベントに中田英寿と朝青龍が顔を見せたこと
を美談として報じた。 ところが波紋が広がるや二日後には「疲労骨折のはずが…相撲協会激怒」という見出しで独占スクープ扱い。美談報道が大騒動の引き金になってしまったわけだ。一方、『アサヒ芸能』8月16・23日号は「朝青龍『引退』に追い込む中田の大罪」と題し、こちらは中田黒幕説を展開している。 騒動全体を通じて思うのは、外国人力士をスカウトして国技の体面を維持している今の相撲界の矛盾が今回噴出したと考えるべきではないかということだ。そういう本質的な議論をもっとワイドショーはやるべきだ。 

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 外国人頼み 角界の矛盾/朝青龍騒動 TVも本質的な議論を

このブログ記事に対するトラックバックURL: