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篠田博之の「週刊誌を読む」

「安倍続投批判」合唱 

自民大敗となった参院選。こういう大イベントは、テレビ・新聞と一緒に取材しながら発売は数日後という週刊誌にとって誌面づくりが難しい。 比較的独自色を出せていたのは『週刊文春』8月9日号ではないだろうか。「民意無視『バカ社長』じゃダメなんだ!
石破茂が覚悟の退陣勧告」「舛添要一激白『バカにつける薬はない』『決定的に資質に欠ける』」「初めから決められていた安倍続投の仕掛人」など、徹底して「安倍続投批判」に絞り込んだ。

 石破・舛添両人の記事はテレビなどで語っていたのと基本的に同じなのだが、見出しやリードなどインパクトある激しい言葉をうまく強調して誌面を作り上げた。選挙特番で最初に安倍首相にインタビューした田原総一朗氏をも「安倍続投の仕掛人」として批判しているところも面白い。

 「田原氏は…まるで赤城農水相のせいで参院選に負けたという前提でインタビューを行なった。その上、『(惨敗の)責任をとって更にやっていくのか、辞めるのか、どっちか』と聞くだけで、なぜ辞めないのか、と追及することはなかった」 選挙後の庶民の気分を汲んで「安倍続投批判」を掲げている点は他誌もおおむね同じだ。『週刊朝日』8月10日号の対談の見出しは「首相に辞めなさいと言えるのは母親の洋子さんだけだ!」  ちなみに同誌の編集後記で、山口一臣編集長がこう書いている。「参院選の結果をお伝えするため、今週号は発売日を1日遅らせ、日曜日から夜を徹して編集作業を完了させました」。ところがその日曜日に若手女性部員が挙式。「本人は『選挙の翌週』と配慮したつもりだったのですが、会期延長の影響がこんなところにも……」。 

 会期延長は他にも思わぬ影響を及ぼした。『週刊新潮』8月9日号が参院選のワイド特集の中で、選挙特番の視聴率比較を行っている。夜九時頃までの平均視聴率は日テレ七・五%、TBS九・四%、テレ朝八・六%に対してフジは何と一七・五%。圧勝だ。
 選挙が一週間延びたために、同局のイベント「27時間テレビ」と重なり、SMAP出演のボウリング大会というバラエティを九時過ぎまで流したためだ。他局に遅れて九時十五分から突入した選挙特番も、そのまま見続けた人が多いのか、民放トップだったという。選挙よりもSMAPを選んだ人が予想外に多かったというわけで、これもまた考えさせられる。

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