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篠田博之の「週刊誌を読む」

暴力団の影 暴露合戦/ 吉本興業のお家騒動

 あの吉本興業がお家騒動に揺れている。しかも創業家と現経営陣双方が週刊誌を使って論戦を行うという異例の展開だ。 発端は3月26日発売の 『週刊現代』4月7日号「吉本興業副社長”暴脅迫事件”一部始終」。吉本興業の実力者・大崎洋副社長がこの一月、山口組系の男にホテルに呼び出され、創業一族である元会長の子息を役員に就けることなどを要求されたという。記事は事件の背後に大株主でもある元会長夫人・林マサ未亡人の意向があることを匂わせ、創業家と暴力団との黒い関係も指摘した。

 それに反論したのが、3月29日発売の『週刊新潮』4月5日号。二週にわたって創業家・林マサさんの手記を掲載した。見出しは「吉本興業は怪芸人『中田カウス』に潰される!」。古参の芸人・中田カウス氏が吉本興業特別顧問として経営に口を出し、しかも山口組との交流を吹聴することで権勢をふるい、「吉本最大のタブー」になっているという内容だった。

 告発連載の終了後、吉本興業は四月九日、『週刊新潮』の記事が事実無根で名誉毀損にあたるとして法的措置をとることを発表。同時にその日発売の『週刊現代』4月21日号に中田カウス氏が手記を掲載。「吉本興業”創業家”と暴力団の癒着こそタブーだ」と題して林手記に全面反論した。 さらに12日発売の『週 刊新潮』4月19日号は、「中田カウスの『ウソ』と吉本興業が隠す『巨額使途不明金』」という記事を掲載。『週刊現代』の記事を「噴飯もの」と断罪した。何とも激しい応酬だが、双方が相手の暴力団との関係を暴くという暴露合戦となった。

 ここに至って他の週刊誌も騒動に参入。『週刊文春』4月19日号は「吉本興業創業家と中田カウス『ワル』はどっちだ」と題して、双方の主張を紹介。同時に、吉本興業と山口組の関係が戦前からあったことを暴いた。

 『フライデー』4月27日号は「中田カウス『超厳戒の”緊迫”舞台』」と題し、前週に続いてこの騒動を報道。吉本興業の舞台がいま「超厳戒警備態勢」のもとに行われていると報じた。   

 もっぱら吉本興業と暴力団の関係に焦点をあてたのが『FLASH』4月24日号「島田紳助は第2の中田カウスだ!」。芸能と暴力団の癒着が歴史的な流れであることを指摘した。

 もはや泥沼と言うべきお家騒動だが、この応酬、芸能界の裏側をも暴いてしまったようだ。/(月刊『創』編集長・篠田博之)

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