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篠田博之の「週刊誌を読む」

現実味ある?八百長報道/広がる波紋、真相解明を

 このところ週刊誌の元 気がすこぶるいい。「あるある大事典」事件が『週刊朝日』のスクープだったことは前回書いたが、それ以外にも『週刊現代』が大相撲八百長疑惑を、『週刊ポスト』がプロ野球薬物疑惑を告発するキャンペーンを展開中だ。特に前者は、名前の挙がった横綱・朝青龍らが日本相撲協会の事情聴取を受けるなど、波紋が広がっている。

 もちろん当の朝青龍自身は疑惑を否定し、週刊誌報道を事実無根と非難しているのだが、それでも騒ぎが収まらないのは、この告発記事がかなり詳細で、リアリティがあるためだ。どうやら内部告発者がいるらしい。

『週刊現代』記事に登 場する匿名の関係者によれば、朝青龍は「たいていの場所で計1000万円以上の懸賞金を手にしているという」「この懸賞金こそがドルジの注射の主な原資となっているのです」。ドルジとは朝青龍、注射とは八百長のことである。

 「星の値段は80万円を基準に、取組の重要性によって50万~100万円くらい」「ドルジが一場所中に買う星の数は10~11番、平均80万円払っても十分黒字です。このカネに下位力士が群がり、注射全盛時代を生んでいるのです」。ガチンコ相撲でへたにケガなどすれば力士として大損害だし、相手力士と事前に話をつけて星を売買した方が得策だというわけだ。

 大相撲八百長疑惑は以前『週刊ポスト』が「お家芸」と言われるほど長期にわたる告発キャンペーンを行ってきたが、真相は曖昧なままだった。今回はぜひ相撲協会として徹底解明してほしい。もっとも『週刊現代』によれば、八百長は角界ぐるみで、協会による事情聴取など「泥棒が泥棒に事情を聴いているようなもの」というのだが。

  一方、『週刊ポスト』のプロ野球薬物疑惑は、元巨人軍投手・野村貴仁の実名による告発だ。選手たちが覚醒作用のある薬物を使用していたという内容で、実はこれも昨年『週刊朝日』が告発して問題になった疑惑だ。 大相撲にプロ野球と、いずれも庶民の関心の高いスポーツの疑惑だけに反響も大きいだろうし、週刊誌らしい告発キャンペーンといえる。

 「あるある大事典」事件については、『週刊朝日』が2月9日号でも「おわび放送もデタラメだった!」と題して大特集の第三弾を掲載。この問題については、同誌がまさに独走といってよい健闘ぶりだ。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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