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篠田博之の「週刊誌を読む」

容疑者の肉声テープ/ テレビ局謝礼の経緯 議論に

 驚いた。『週刊新潮』 1月25日号が報じているが、あの『モーニング』(講談社)の人気マンガ「ブラックジャックによろしく」が何とライバル誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に移籍するという。

 『週刊新潮』によると作者がページ約三万円の原稿料を約八万円に増額することなどを要求、編集部が断ったため、という。「ブラックジャックによろしく」といえば、テレビドラマ化されて大ヒットした『モーニング』のドル箱作品だ。それがライバル誌に突然移籍とはあまりに劇的で、ただ驚くのみである。

 いや、今回は本当はその話でなく、夫を殺害しバラバラにした三橋歌織容疑者の事件について書くつもりだった。この事件、巷でかなり話題になっているようなのだ。

 夫婦がすれ違いの末、遂には妻から三行半(みくだりはん)というのは最近よくある話だが、この場合は妻が夫を殺害して解体するという究極の夫婦断絶なのである。

 週刊誌は、妻が夫の家庭内暴力に悩んでいたが、夫婦それぞれが不倫を行い、最後は離婚話が夫から切り出され、その直後に妻が夫を殺害した、といった話を競って書き立てている。

 『週刊文春』1月25日号のコラムで作家の林真理子さんは、自分の周りでもこの事件に関心が高いと指摘したうえで「誰もが口にするのは、そんなに夫が嫌いなら、離婚すればいいではないかということだ」と書いている。離婚に応じるのでなく殺害に至ってしまった妻の心情に女性たちが関心を寄せているというのだ。

 この事件をめぐってもうひとつ週刊誌が一斉に報じているのは、逮捕前の容疑者との電話を録音し、テレビで公開した友人の話だ。『週刊新潮』1月25日号によると、この友人は最初にTBSに話を持ち込んで三十万円の謝礼を要求。同局が二の足を踏むと「日テレは35万でOKしたが、20万円ではどうか、などと条件を小出しにしてきた」という。

 日テレとフジテレビを皮切りに各局が次々とこの肉声テープを流し始めたのだが、この争奪戦に遅れて参戦したテレビ朝日には、最初五十万円を請求するメールが届いたという。

 週刊誌によって金額や細かい経過は異なるが、録音テープをめぐってテレビ各局のドタバタが繰り広げられたのは確からしい。この経緯も今後、議論を呼びそうだ。
(月刊『創』編集長・篠田博之)

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