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篠田博之の「週刊誌を読む」

女性読者獲得の大合唱/「オヤジ雑誌」も路線変更

「週刊誌革命」宣言なるコピーを掲げて『週刊現代』が誌面刷新を行って二号。あのヘアヌード満載のオヤジ雑誌という同誌のイメージは、確かに変わった気がする。

 それにしても『週刊現代』『週刊ポスト』という元オヤジ雑誌が二誌そろって「女性も読める雑誌を」と唱えているのには、時代の変化を感じざるをえない。日本の週刊誌が、今大きな曲がり角にさしかかっているのは確かだろう。

 その象徴的なエピソードをひとつ紹介しよう。話してくれたのは『週刊文春』木俣正剛前編集長(現・第一編集局次長)である。

 「(昨年)11月2日号のトップに中川昭一政調会長の『核論議は絶対に撤回しない』という独占インタビューを載せたのですが、ふたを開けたらこれが返本率四〇%前後の、ここ十年くらいで一番悪い数字になってしまった。ところが当初は、会社の上層部も含めて、これは久々に面白い、話題になって売れるぞと言っていたんですね。その見通しと現実との落差に上層部もショックを受けていました」

 中川政調会長の問題発言を敢えて掲載して物議をかもす、というその手法は、確かにかつてなら話題になったかもしれない。しかし、今の『週刊文春』は、読者の半数が女性という、昔とは違う雑誌になっている。中川発言といった話題そのものが昔ほどウケなくなっているというのだ。

 『週刊文春』『AERA』『週刊朝日』は、女性読者が多いことで知られる。いや、そもそもこれらの雑誌を男性週刊誌と規定していた時代が終わったというべきなのだろう。既存の女性誌が生活情報にファッション、芸能ゴシップといったテーマに特化しているために、ニュースを読みたい女性は、それまで男性誌と規定されていた雑誌を読むようになった。

 だから既存の女性週刊誌が部数を急落させる一方で、かつて男性週刊誌と言われたものの中で『週刊文春』や『AERA』のように女性読者獲得に成功したものは相対的に好調を保っているという現実がある。そして、かつては女性読者など想定していなかった『週刊現代』や『週刊ポスト』までもが「女性読者の獲得」を唱えるようになった。

 これは総合週刊誌の構造的な変化を示す一例といえる。週刊誌市場の大枠が変わりつあるという現実の中で、さて今年、各誌はどんな誌面で勝負をかけるのだろうか。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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