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篠田博之の「週刊誌を読む」

税調会長辞任に溜飲/ 「ポスト」スクープ官邸大混乱

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 本欄は今回が今年最後 になる。総合週刊誌にとってはとめどなき低落の厳しい年だったが、最後に『週刊ポスト』のスクープが鮮やかに決まったのにはホッとした。二週続けて追及した本間正明政府税調会長のスキャンダルが遂に本人を辞任に追い込んだのだ。
権威・権力の座にある者をスキャンダルで引きずり下ろし、庶民の溜飲(りゅういん)を下げさせるというのは週刊誌ジャーナリズムの基本である。今回の追及がどんなふうに波紋を広げたかは、第二弾にあたる同誌1月1・5日号に詳しく書かれている。

「本誌は前号締め切り 直前、政府税調を管轄する内閣府と官庁を管理する財務省にそれぞれ質問書を提出。ここから内閣府と官邸は大混乱に陥った」。内閣府が慌てて本間会長に事情を聞くと、本人は「妻とは離婚協議中だから(問題の女性は)愛人ではない」と説明。それを聞いて内閣府幹部はホッとしたらしい。ところが「12月9日土曜日、発売前の本誌を入手して、その内容に衝撃を受けることになる」。離婚協議中どころか、その妻本人が取材に応じて「離婚の具体的な話はない」と語っていたからだ。 その後の辞任に至る経緯はマスコミで報じられた通り。官邸と自民党の確執とか様々な要因はあったにしても、『週刊ポスト』の圧勝と言ってよい。トップの座から急転落という苦境にあった同誌だけに、今回のスクープには喜びもひとしおだろう。もっとも、これが部数増に簡単につながらないことが一番の問題でもあるのだが。

 さて、十二月二十五日発売の『週刊現代』1月6・13日合併号が「週刊誌革命」宣言と銘打って大幅なリニューアルに踏み切っている。編集を完全電子化するとか、デザイナーを替えて表紙などのデザインを一新するとか、巻頭グラビアからどぎついヌードを一掃するとか、改良点はいろいろある。しかし、私が一番驚いたのは、編集側が「女性も読める雑誌に」と言っていることだ。同誌の女性読者は現在約一割だが、それを二~三割まで増やしたいという。

 『週刊現代』と言えばオヤジ雑誌の最後の砦というイメージがあった。それがこんなことを言い出すとは、まさに週刊誌界の激変を象徴することだ。しかし、急激なリニューアルは逆に部数減を加速する怖れもあり、今回の『週刊現代』の試み、楽観は禁物だ。果たしてどうなるか。加藤晴之編集長、正念場である。  (月刊『創』編集長・篠田博之)

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