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篠田博之の「週刊誌を読む」

税調会長、愛人と官舎同棲/ 公人の”行状”、見事に暴く

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『週刊新潮』が「皇室 中傷芝居」と断罪して右翼の攻撃にさらされるに至った劇団「他言無用」の事件は、週を追うごとに深刻になっている。十五日に予定されていた名古屋での公演はとうとう中止になってしまった。 しかも、公演中止に伴って改めて書かれた謝罪文では「今後、ご皇室を寸劇でパロディーにしない由、堅く御約束申し上げます」と、皇室を扱うこと自体を封印してしまった。

 私もかつて天皇に関わ る記事で右翼の攻撃を受けた経験があるが、直接的に暴力と対峙した局面においては、ペンは剣よりも強いなんてことは全くない。だから事態収拾のために劇団がとった措置をあれこれ言う気にはなれないのだが、それにしても言論・表現をなりわいとする者にとって、自分の表現をそんなふうに封印していくというのはやりきれないことだろう。言論表現の自由が狭められていく今の日本を象徴するような事件で、重たい気分にならざるをえない。

 さて話題転換。『週刊ポスト』12月22日号の「本間税調会長『愛人と官舎同棲』をスクープ撮!」は見事なスクープだった。企業減税と住民税率引き上げという、企業に優しく庶民に厳しい「税制改革」を提言している張本人が、民間賃貸なら家賃五十万円はくだらない高級官舎に八万円弱で住み、愛人まで住まわせていたというのだ。

 政府が作り出している格差社会が、庶民はますます貧しく、富める者はやりたい放題という現実を招いていることを、この報道はわかりやすく示してくれた。権威ある人の行状を女性スキャンダルでわかりやすく暴いてみせたという意味で、週刊誌ジャーナリズムの真骨頂ともいえよう。先頃就任した粂田昌志『週刊ポスト』編集長、まずは幸先よいスタートだ。

  石原都知事親子と水谷建設の裏献金疑惑についても幾つかの週刊誌が追及している。権力スキャンダルを暴くという本来の仕事をきちんとやることが、地盤沈下しつつある週刊誌ジャーナリズムの復権への道であることは言うまでもない。

 いま週刊誌業界では、この年末に『週刊現代』が予定している大幅な誌面刷新が話題になっている。既に『週刊現代』では「週刊誌革命宣言」なるキャッチフレーズを打ち出している。この話も含めて、週刊誌ジャーナリズムの現状については、次回改めて書くことにしよう。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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