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篠田博之の「週刊誌を読む」

スクープ媒体に冷たい/ 紀香さん結婚報道『女性セブン』の完勝

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『女性セブン』の、ぶ っちぎりのスクープだった。女優・藤原紀香と、お笑い芸人・陣内智則の結婚である。同誌11月30日・12月7日合併号の発売前日である十五日に、見本誌を見て芸能マスコミは大騒ぎになったらしい。年明けにも関西の神社で挙式、と具体的な話が書かれていたからだ。 その夜、陣内の実家にも取材陣が押し掛けた。驚いたことに、父親はそこで初めて二人の交際の事実を知ったという。陣内の所属する吉本興業の社長も十六日朝の報道で「初めて知った」とコメントしているから、関係者への根回しもしていない段階で『女性セブン』がスクープしたということらしい。

 そのため、陣内が司会を務める読売テレビの情報番組「なるトモ!」での十六日の本人のコメントも「報道されてるような結婚ってのはないし、婚約もしてないんです」と歯切れの悪いものだったという。しかし、二人の結婚は既定の事実のようで、『女性セブン』が今回のスクープで評価を高めたのは確かだろう。 ただ、これはよく本欄 でも指摘していることだが、スポーツ紙やワイドショーだけでなく一般紙も取り上げたほど大きなニュースとなった今回の騒動、ほとんどが「十五日までに~であることがわかった」という書き方で、それが『女性セブン』のスクープであることを伝えない。特定の媒体のスクープに敬意を払うことのない、こういう報道スタイルが一般化している現状にはどうも疑問を感じざるをえない。

  さて、その藤原紀香に ついて面白い記事が『週刊新潮』11月23日号に載っている。「参院選候補『藤原紀香』が自民党に冷水をかけた『護憲発言』」。来年夏の参院選に自民党が藤原の擁立を画策しているらしいのだが、その自民党を当惑させているのが『週刊現代』8月19・26日合併号での彼女の発言だという。作家・井上ひさしとの対談で、彼女が憲法九条を高く評価したため、護憲派では候補としてまずいという声が自民党から出ているのだという。

  でもその発言というの が、九条について「すごく勇気のある決意ですよね。制定した国民の強い意志を感じるような気がします」「戦争を防ぐために必要なのは武力じゃない」といったもの。日本人にとって当たり前の発言で、これが問題になること自体、安倍自民党が国民の意識とずれていることを示すものでしかないと思うのだが。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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