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篠田博之の「週刊誌を読む」

感覚変え「古い体質」改革/ 「週刊女性」初の女性編集長

「『週刊女性』(主婦と生活社)に今年、大きな『異変』が起こった。史上初の女性編集長が誕生したのだ。年齢も36歳と、史上最年少である」
 そう書いているのは『週刊朝日』8月18・25日号だ。見出しは「老舗女性誌『週刊女性』を救う初の女性編集長の辣腕(らつわん)」
 史上初の女性○○というニュースがよく報じられたのは、一般社会では相当昔のこと。いまだにこういう見出しが躍るのは古い体質の分野と言ってよい。そして意外に古いのがメディア界だ。女性向けの雑誌で今ごろ初の女性編集長という、むしろそのことの方がニュースかもしれない。
 女性週刊誌初の女性編集長は2002年就任の『女性セブン』森万紀子さん。今回『週刊女性』編集長に就任した太田裕子さんは二人めだ。女性週刊誌とは、いや少し前までは日本の女性誌そのものが「男が作る女の雑誌」だったのである。
 太田さんは、ここ3年間は同じ主婦と生活社の『すてきな奥さん』編集長だった。一時低迷し、ライバル誌の『おはよう奥さん』(学習研究社)に抜かれた同誌の部数を回復させ、抜き返した功績を評価され、この6月に看板週刊誌の編集長に抜擢された。
 週刊誌はいまや総じて部数低下の一途をたどっており、各誌がテコ入れ人事を行っている。今回の『週刊女性』も事情は同じだ。同誌の場合、昨年後半の平均実売部数が25万部を割った。このまま落ちていくと採算割れになりかねない。
 太田さんは『すてきな奥さん』編集長の前は『週刊女性』副編集長で、私とはその時期に面識があった。久しぶりに会おうと先日、編集部を訪ねた。女性誌の編集を男性がやるのと女性がやるのとでは誌面に違いが出るのか、そんな話をした。
「大きな違いはないでしょうね。でも感覚的な部分ではあるかもしれない」(太田さん)。例えば先ごろ、釈由美子の密会スクープを掲載した時、写真に彼女のTバックの下着が写っていたのを男性記者が「勝負下着」と表現した。「女性から見れば、それは今時”勝負”でなくても普通のオシャレではいてるでしょ」。カメラマンを除く編集スタッフ46人のうち女性は太田さんを含めて18人。実用班は9人全員が女性だが、芸能班は11人中2人、事件班はゼロという。芸能・皇室・事件など熟練が必要な取材はまだ男性が多いということなのか。

東京新聞 2006.08.21掲載/メディア批評誌「創」編集長・篠田博之

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