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篠田博之の「週刊誌を読む」

エビちゃん人気猛威/「CanCam」一人勝ち

  私自身はこのところ共謀罪をめぐる攻防が最大の関心事で、個人情報保護法の時のようにどうして週刊誌がこの問題を大きく扱わないのだろうかと思っているのだが、その話題は次回に譲ることにして、今回は全く違う話題「エビちゃんブーム」を取り上げよう。

 ともかくすごい人気らしい。山田優、押切もえと並んで女性月刊誌『CanCam』のモデルを務めるエビちゃんこと蛯原友里(えびはらゆり)のことだ。昨年、彼女がCMキャラクターを務めたマクドナルドの「えびフィレオ」が大ヒットしたとか、「エビちゃんカレンダー」がバカ売れしたとか、話題には事欠かない。最近はテレビドラマにも出演し始めた。

『アエラ』4月10日号 の特集「エビかわいく生きたい!」では、エビちゃんのファッションがいかに購買に結びつくかをこう書いている。「『バカ売れ』。それが『CanCam』のキーワードだ。単に載せるだけで売れるわけではない。人気の専属モデルが着て、かわいらしく写っていることが必須。色違いは売れない。たとえば、エビちゃんが写真で着ている色だけがケタ違いに売れる。同誌自ら『エビ売れ』と名付ける現象だ」 
 『CanCam』自身も部数急増。ライバル誌『JJ』に、いまや倍近い差をつけて女性誌の中で一人勝ちだ。

 『女性自身』5月23日号でコラムニストの中森明夫さんは、タレントには「癒し系」と「覚醒系」があるが、エビちゃんは「覚醒系の女王」だと書いている。疲れたオジさんに人気の「癒し系」優香や乙葉と異なり、女性に人気がある。世の女性たちのお手本となり、覚醒させるのだという。

  女性週刊誌だけでなく『週刊現代』4月8日号のように男性誌でも「おとーさんのための『蛯原友里』講座」などとエビちゃん特集を掲載する例も出始めた。もっとも、同誌の兄弟誌『FRIDAY』は、4月21日号で「エビちゃん&イケメン美容師『熱愛LOVE』撮った!」と、男性との交際を隠し撮り。人気上昇に伴って、こんなふうに写真週刊誌に追われる存在になったことに本人は戸惑っていることだろう。

ちなみにエビちゃんが 『CanCam』モデルオーディションに合格したのは2002年のことだ。当時の愛称は「友里ちゃん」だったが、同誌編集長が「エビちゃん」と呼んだことから今の愛称になったのだという。

東京新聞 2006.05.15掲載/メディア批評誌「創」編集長・篠田博之

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