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NHK受信料督促裁判を考える

09年3月3日、NHK受信料拒否裁判、本人尋問、傍聴しました。

 行ってきましたよ。東京地裁709法廷。傍聴席は約40ですが、たぶん傍聴人はこれまでで一番多かったのではないでしょうか。傍聴席はほぼ埋まっていたし、開廷前にはへたすると全員は入れないのではと心配もしました。相変わらずごく一部を除いて新聞・通信社などが取材にも来ないというのが気になりましたが(マスコミは何をやってるのか本当に)。でも逆に北海道からわざわざ来たという元NHK職員や、これまたNHKをやめて内部告発を行った立花さんら常連が今回も来ていて、傍聴席も熱気がありました。

 今回は本人尋問。つまり支払拒否をしてきて、裁判になるぞと脅されてもそれでも屈しなかった当事者が法廷に立つという、この裁判のハイライトでした。2人とももちろん一般市民ですから、緊張したようで、特にAさんなど、途中緊張しまくって、裁判長に「水を飲んでもいいでしょうか」とペットボトルの水を飲んでいました。あ、ここでは被告本人の2人をA、Bと表記します(以前は仮名にしてましたが)。
 もともとこの裁判はAさんが支払督促を受けて、ネットに発信をしていて『創』のライターに接触したものです。もうひとりBさんは、このサイトを見て連絡してきました。もうひとり、最初本人訴訟をしようとしていた人が、これもネット経由で弁護士と接触をとったのですが、3人のその被告のうち本人訴訟をしていた人は途中で和解したため被告は2人になっていました。
 本人たちはもちろんこれまでこのサイトと『創』以外はマスコミにも出てないし、基本的に匿名。で、Bさんが大きなマスクをしてたので、そうやって顔を隠してるのかと思ったら、そうでなく単に花粉症でした。
 証言はBさんから。最初に弁護人からの質問、そしてNHK代理人からの反対尋問、そして最後にまた弁護人質問、という順番でした。Bさんは、一時期、受信料は払っていたのですが、当時はそれが契約に基づくという意識はなく、集金人からも契約についての説明は受けてないと証言。自分の意志で支払い拒否に踏み切ったのは、2004年に不祥事で、「自分は抗議の意思を示すために支払いをやめました」「それ以降も不祥事が繰り返されており、そういうNHKの対応に納得がいかないので、その後も払っていません」とはっきりと述べました。聞いていて「やった~」という感じでしたね。

 で、NHK側の反対尋問では「昨年のオリンピックも見てなかったですか?」とかチクチクつつこうという質問がなされましたが、Bさんは「見ていません。民放は見ましたが」と答えてました。その後、『創』のインタビューでBさんが述べたことをついてきたので、傍聴席でちょっとギクッとしましたが、後で弁護人がフォローしてあげてました。
 次はAさん。こちらは拒否理由を「NHKは見ていない」「お金に余裕もないので払う意思はなかった」ことなどを説明し、それとNHKの不祥事や、番組改変問題での政治介入も理由にあげました。反対尋問でNHK代理人は「さきほどそうおっしゃいましたが、番組改変問題というのは一般の人はあまり知らないと思いますが」と言ったために、弁護団と傍聴席から大ブーイングが出ました。何しろこの弁護団は、その改変問題の弁護人をした人たちなので、この発言にはムッとしたでしょう。「異議あり」とNHK代理人に抗議していました。

 閉廷後、被告や傍聴者がいつものように待合室で意見交換し、法廷証言という大役を終えた2人に、みんなが大きな拍手を送りました。次回は4月28日11時から709法廷で。これで結審で、夏休み前に判決が出る予定です。
 この裁判を通して、それまであまり知らなかった「公共放送とはどういう仕組みなのか」「受信料とは何なのか」、それが戦後、憲法とどういう関係にあるかなど、多くのことを学びました。本当はNHKが率先して、元々受信料システムとはどういう理念だったのかアピールすべきなのですが、むしろ逆で、支払拒否をしている方がNHKに対して原点をもう一度みつめろ、とつきつける裁判でした。本来は、国でも企業でもなく市民が放送を支えるという崇高な理念から出発したのに、NHKがどうして今のような体質に堕落したのか。この裁判はそれを考えるプロセスでもあります。
 ぜひ次回、多くの人が法廷に足を運び、一緒に考えたいと思います。

 そう言えば待合室での意見交換の時、ミクシィで「NHK受信料支払いません」というコミュニティを立ち上げ管理しているという浜田さんという方とも会いました。あちこちで受信料問題を考えている人たちはたくさんいます。相互に意見交換や議論ができればよいと思います。
 それから、Bさんに「その後ごぶさたばかりですみません」と丁寧な言葉を頂きました。我々こそ、この運動をもっと大きくしようと思いながら忙しさにかまけて十分なことができずにいるので、こちらの方が恐縮しました。 (篠田博之)

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