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朝日・読売退社手記

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 前回、新潮社と小学館に入社後、自殺した新人の実例を紹介したが、今回は入社して半年以内に退社した2人の手記を紹介しよう。

 最初は『創』88年9月号に掲載した女性記者の手記だ。早大在籍中から中国に留学して現地報告を朝日新聞社の媒体に発表し、優秀だと評価され、期待されて採用されたのだが、半年で退社。そして手記を『創』に発表したのだが、これが大反響を呼んだ。単なる愚痴でなく、筋の通った告発だったからだ。これを機に朝日新聞社は新人教育システムを見直し、翌年の選考の面接でもこの手記が話題になったほどだ。
 もうひとつは読売新聞社を3カ月で退社した男性の手記で、『創』90年9月号に掲載された。こちらも大きな反響を呼び、手記に出てくるデスクは左遷させられるという事態を引き起こした。

 この時代は、こんなふうに大手マスコミに合格しながら何カ月かで辞める事例が増え、問題になり始めた時期だった。それ以前は日本は終身雇用制が確立していたため、一度入った会社を辞めると不利になると、疑問を感じていた人も我慢したものだった。だから、大手新聞社やNHKなど、皆の憧れの的だったはずの職場から退職者が相次いだことは、それらの会社に衝撃を与えたのだった。

「創」の記事は以下のURLを参照(PDFファイル)
http://www.tsukuru.co.jp/asahi.pdf
http://www.tsukuru.co.jp/yomiuri.pdf

 ここに紹介した2人の手記は、もうだいぶ昔の事例で、当時の状況と現在とで変わった面もあるが、大部分は今でも参考になる内容だ。これからマスコミをめざす人たちにぜひ読んで一緒に考えていきたいと思う。
(以下次号)

※このコラムはmixiのコミュニティ「マスコミ就職フォーラム」でも公開し、
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